【物流リーダー必勝のマインドセット:eBook第2集】

< 目 次:eBook第2集 >

表紙・・・・・・・・・・・・・・・・・2
桜咲く・・・・・・・・・・・・・・・・3
復興に向けて・・・・・・・・・・・・・4
理性がゆらぐとき・・・・・・・・・・・6
誰も寝てはならぬ・・・・・・・・・・・7
自由な国の作り方・・・・・・・・・・・9
戦時下のマーケティング・・・・・・・ 10
坂口安吾の『堕落論』 ・・・・・・・・11
プロとは何か・・・・・・・・・・・・ 12
地底探検・・・・・・・・・・・・・・ 13
異機能の連携・・・・・・・・・・・・ 14
静けさ・・・・・・・・・・・・・・・ 15
頭上運搬・・・・・・・・・・・・・・ 16
婦人輸送隊・・・・・・・・・・・・・ 17
大艦巨砲主義・・・・・・・・・・・・ 18
徐福伝説・・・・・・・・・・・・・・ 19
ツル先生~!・・・・・・・・・・・・ 20
メールツェルの将棋差し・・・・・・・ 21
太陽光発電・・・・・・・・・・・・・ 22
冒険者たち・・・・・・・・・・・・・ 23
ヤマの姿・・・・・・・・・・・・・・ 24
草取り・・・・・・・・・・・・・・・ 25
リスクへの対応・・・・・・・・・・・ 26
正しさとは何か・・・・・・・・・・・ 27
トップの資質・・・・・・・・・・・・ 28
桃太郎伝説・・・・・・・・・・・・・ 29
緊急支援物資のロジ・・・・・・・・・・・ 30
栄光のラストワンマイル・・・・・・・・・ 31
国譲り神話・・・・・・・・・・・・・・・ 32
動物に餌をやらないで・・・・・・・・・・ 33
プリンキピアの世界・・・・・・・・・・・ 34
長干行・・・・・・・・・・・・・・・・・ 35
鷹見泉石像・・・・・・・・・・・・・・・ 36
社名の由来・・・・・・・・・・・・・・・ 37
ダークサイド・オブ・ザ・ムーン(月の裏側)・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 38
災害・SCMにおける対応・・・・・・・・・39
リーダーの姿・・・・・・・・・・・・・・ 40
IT、発展のポイント・・・・・・・・・・・ 41
ジャズの掟(おきて)・・・・・・・・・・ 42
東電OL殺人事件・・・・・・・・・・・・ 43
液状化現象-1・・・・・・・・・・・・・ 44
液状化現象-2・・・・・・・・・・・・・ 45
サプライチェーン復興・・・・・・・・・・ 46
大震災後の疫病・・・・・・・・・・・・・ 47
奇跡の中身・・・・・・・・・・・・・・・ 48
森で木にぶつかる・・・・・・・・・・・・ 49
妻のぼやき・・・・・・・・・・・・・・・ 50
人を選ぶ・・・・・・・・・・・・・・・・ 51
自分の中にある答え・・・・・・・・・・・ 52
不沈艦・雪風・・・・・・・・・・・・・・ 53
次に来るもの・・・・・・・・・・・・・・ 54
お問い合わせ先・・・・・・・・・・・・・ 55

1


表紙

2

桜咲く


上野公園。
桜が咲いています。

3

復興に向けて

地震被害を受けた企業にとっての「第2の矢」は、当座の資金繰りである。
ずばりお金のことだ。

建物や設備復旧のための資金ばかりではない。
取引先への支払い、借入金の返済、従業員の給与支給など。
とうぜん、地震保険に入っているかどうかもある。CDF地震災害時発動型ファイナンスというのもある。
国からの支援がどのくらい受けられるのか、というのもあるだろう。

この数週間よく聞かされた「未曾有の~」論。
ほんとうにそうなのか。
2003.4月に当時の国土庁中央防災会議が想定した南海大地震では、マグニチュード8.6、死者17,400人、建物被害284,200棟、ライフライン被害のべ2,000万人とある。

この線でBCP事業継続計画を作れたのに。。。。
まあ今は、とやかくは言わないでおこう。

とはいえ今は、お上が何かしてくれるまで待っていてはダメだ。
義援金を未だに支給できないような現政権に期待していても造作ない。

とにかく何としてでも資金を調達することだ。

提案だができれば、操業停止期間を3ヶ月程度とするシナリオを想定すると良いと思う。
もっと言うと、最長3ヶ月で立て直すシナリオを組もう。

BCP事業継続計画はこのRTO業務再開目標時間があってこそだ。
なぜ、RTO再建計画を示せない企業が多いのか?

その理由はあるだろう。
電力供給など「社会的インフラの復旧状況によりけり」とか。
「被害規模の詳細データをよく分析してみないと分からない」とか。
「被害というのはそもそも直接被害より顧客・取引先との兼ね合いで発生するもの」とか。
いつから政治家や学者みたいなことを言う様になったのか。

他に要因があると、何も考えられないし、具体的にものが言えない。
戦う前からすでにお手上げ状態だ。

どうして生きるためにジタバタしないのか。
こんな地震や計画停電や放射能漏れくらいで、悲観してはならない。
会社を潰してはならない。

繰り返すが要するに今は、計画を練るときだ。
つまり、ヒト・モノ・カネのロジスティクスを構築するのだ。

そして日本人が弥生時代から繰り返してきた宿業を打ち破ろう。

という事で、いよいよ私の出番かな。

4,5

理性がゆらぐとき

吉村昭の著作『三陸海岸大津波』について産經新聞に載っていた記事に、思わず目が止まった。
それは明治の大津波の時も昭和の大津波の時も、不気味な前兆が海で見られたという、高山文彦氏の指摘である。

「・・・沿岸各地は例年にない大豊漁に沸きかえり、イワシが大群をなして海岸近くに殺到したという。また波打ち際に大量のアワビが打ち寄せ、無数の海藻が海岸をうずめるほど漂着した。・・・」

高山氏はこの度の大震災は、安心が慢心を呼び起こしたと指摘する。
大津波には高い防波堤を築く。
放射能には幾重もの壁を設ける。
近代文明のそうした、いかにもというテクノロジーが、私たちのたいせつなある種の感覚を鈍らせてはいなかったか。

昨年夏の酷暑と打って変わったような、この冬の寒波・大雪。
アメリカ各地で見られた謎の鳥の大量死。
九州での噴火。
確か鹿島灘にイルカが何十頭も打ち上げられたのも、そんなに前ではなかった。

予兆なんて怪しげな。。。と訝る人もいらっしゃるだろうが、私が言いたいのは、今回この予兆を得た人がいるのだろうかという点だ。

こうした異常現象を報告しあう掲示板もあるようだが、7日深夜の余震前に、的を得た様な報告はなかった様だ。

そんな中、インドの著名な聖者サイババ氏が危篤に陥ったという。
サイババといえば、青山圭秀氏の『理性のゆらぎ』で取り上げられた奇跡を顕す人だ。

話を戻すが、さあどうだ。
大地震・大津波はもう一ヶ月前のことになってしまったが、思い出して貰いたい。
あの日の自分は何か感じていなかったか。
前一週間はどうだったか。
原発事故に関してはどうだったか。

何でこんな事にこだわるのかと言うと、常識ある人には一笑されてしまいそうだが、訳がある。
リスクマネジメントは突き詰めれば、その予兆に気づくかどうかによって被害の大きさが違う。
戦場のリーダーシップもそうだ。

人事を尽くして天命を待つ。

この中国の古い諺は、やるべき事をすべて行い今は何もしない境地に到った聖人君子の言葉ではない。
あらゆるケースを想定し準備万端整えても、声なき声を聞く事ができなければ、甚大なクライシスを招いてしまう。

さあどうだろう。
理性が答えを出せずに揺らいだことはなかったか。

6

誰も寝てはならぬ

古代中国皇帝の一人娘:トゥーランドット姫は、結婚を申し込んでくる男達に3つの謎かけをして、それが解けなければ処刑という厳しい掟を設けていた。

かつてある美しい娘が、異国の男性に騙され絶望のうちに死んだことがあった。
姫は自分がその彼女に成り代わって、世の全ての男性に復讐を果たすことを誓って「謎かけ姫」となった。

絶世の美女と冷酷~M男にはたまらんな。(@▽@;)

ペルシャの王子を屠ったその日、無謀にも挑戦のドラを鳴らす者があった。
亡国し流浪するある王子だ。

第一の謎「毎夜生まれては明け方に消えるものは?」正解は「希望」

第二の謎「赤く、炎の如く熱いが、火ではないものは?」「それは血潮」

最後の謎「氷のように冷たいが、周囲を焼き焦がすものは?」答えはなんと「トゥーランドット!」

謎をことごとく打破されたトゥーランドットだが、それでも、父皇帝に「私は結婚などしたくない」と哀願する。
皇帝は「約束は約束」と娘に翻意を促す。

その様子を見て王子は姫に対して「それでは私もひとつの謎を出しましょう。私の名は誰も知らないはず。あなたが明日の夜明けまでに私の名を知れば、私は潔く死にましょう」と提案する。

姫は国じゅうにその謎の答えを求め、解けなくば皆を処刑すると命令した。
運命の一夜、王子は静かにアリアを歌う。

プッチーニ作曲・歌劇「トゥーランドット」から『誰も寝てはならぬ』

誰も寝てはならぬ
誰も寝てはならぬ
貴方もですよ、姫様
寒い部屋で星を見上げ
愛と希望に打ち震えながら!

私には秘密が隠されている
私の名前を知るものは誰もいない・・・・(後略)

原子力は魅力的だが、生命あるものすべてを滅ぼす力を有している。
今もわれわれ人類に多くの謎と難題を突きつける。
しかしわれわれもまた心に強く秘すものがある。

それはむずかしい相手との結婚だ。

そして悲しみの恋人を、無明の世界から救ってやってくれ。

7,8

自由な国の作り方

本日は映画「ジャンヌダルク」(もちろん主演はイングリッドバーグマンさ!)からセリフを抜粋。
備忘録代わりですいません。(^^ゞ

さて今では“本気さの権化”のように言われる、われらがヒロインはド田舎出身、16歳。
聖霊の言葉に導かれ何も持たず、太守が治める町にやってくる。
それでも太守にみずからの決意を表明する。
「私は家で母の手伝いをしている方がいいの。でも、他の誰にも、この国を救うことは出来ないの。たとえ貴族であろうと。。。。ここにいる私なの。。。神が私にそれを願っているのよ。だから、いくら反対されても、行かなければならないのです」

太守ははじめ相手にしなかったが根負けし、ジャンヌに王太子への面会を取り付ける。
そして同道したいという部下の騎士を引き合わせる。騎士はまさに私の代弁者のようなセリフを云う。
「あなたの声を聞き、道が見えたのです。人生における自分の使命や何をすべきかが、あなたの声で気づいたのです。。」

王太子の許を訪問したジャンヌは、その王太子から質問を受ける。
(問)もし神が味方なら、なぜ兵士が必要なのだ?→(答)兵士が戦い、神が勝利をもたらすのです
(問)私は自分が信じられない。よい国王になれるのか?→(答)神を信じてください。そうすれば、自信が生まれます
(問)神はそれを望むのか。なぜ神が助ける。私はこんな人間なのに→(問)疑いと恐れを捨てて下さい。誇りをお持ち下さい。神の要求に答えられる人間となるのです。この国のため、国民のためにも、神を信じることがこの国の力となります。

ジャンヌは晴れて出陣の勅許を得る。

ところが王太子が集めた軍隊は、博打に興じ慰安婦を従軍させるなど規律は乱れ士気は上がっていなかった。
ジャンヌは兵士たちに語りかける。
「皆さん聞いてください。私は弱い女です。力もありません。とうぜん、英軍を破る力はありません。でも神はお約束になりました。矢がひょうのように降り注いでも、槍に囲まれても、敵軍の大砲が鳴り響いても、共にいると。神は与えてくれます。勝利と永遠に自由な国を」

そうした決死の突撃も、敵のたてこもる城の高い壁にはね退けられてしまう。
仏軍は多数の死傷者を出し、ジャンヌもまた敵の矢を受け失神。
気がつくと陽は傾きかけ、戦意喪失した自軍の兵士たちが引き上げてくるところだった。
彼女は起き上がると、戦場を敵軍に向かってかけ出す。
「退いてはダメよ。あきらめないで。勇気を出すのよ。ライユ!(配下の将軍を見つけて駆け寄り)退いてはダメです。私と一緒に戦いましょう」
そして打ち捨てられていたフランスの旗を拾い上げて叫ぶ。
「壁に向かって進め!」

9

戦時下のマーケティング

マーケティングは決して集団を狙うものではない。
個人から個人に伝わっていくものである。
霊感(インスピレーション)から生じるがゆえに、他者の琴線に触れる。

したがってマーケッターはまず、深く自分と交流することだ。
過去や常識に囚われてはならない。
定量分析に判断を委ねてはならない。

さらに言うと大きい小さいにかかわらず成果にこだわるべきである。
ピータードラッカーはとくに、不思議な成果を見逃すなと言っている。

それから勉強を怠ってはならない。
自分を豊かにしたいなら、日々勉強をすべきである。
勉強とは予習・復習のことだ。

仕事が忙しいのはお互い様だ。よくわかる。
それでも寸暇を惜しんで勉強して欲しい。
ことにこの度のような震災に見舞われたり、放射能や異国の脅威にさらされたり、いっそうデフレが加速されそうな時代に、何を学ぶかは明確だ。

ずばり、それは軍事である。

軍事とはすなわち物流のことであり、目には見えないけれど、目に見えるものやことを、そのように為らしめているものだ。
そして、救国の志を持って仕事に臨むならば、必ずインスピレーションが生じるだろう。

さらに言えば、マーケティングとは打って出ることである。
ブルーオーシャンを戦場としなければならない。
なぜなら、戦わずに勝つことが求められているからだ。

10

坂口安吾の『堕落論』

前回「戦時下のマーケティング」という題名でブログを書いた。
胸さわぎがして、帰りの電車の中で読み返した。
だいたい自分のブログを読むなんてめったにないことだ。
それで書店で坂口安吾の『堕落論』を購入した。

・・・・・・・
「半年のうちに世相は変わった。
若者達は花と散ったが、同じ彼等が生き残って闇屋となる。
けなげな心情で男を送った女達も半年の年月の内に、夫君の位牌にぬかずくことも事務的になるばかりであろう
(中略)人間が変わったのではない。
人間は元来そういうものであり、変わったのは世相の上皮だけのことだ」

安吾は戦後まもない昭和21年(1946)4月この『堕落論』を発表した。
彼のリアリストとしての冷徹さは、今でもリアリティを持って私たちに迫ってくる。

「宮本武蔵は一乗寺下り松の果し場へ急ぐ途中、八幡様の前を通りかかって思わずおがみかけて、思いとどまった」
吾神仏をたのまずという武蔵特有の教訓があった所以だが、
「我々は自発的にはずいぶん馬鹿げたものを拝み、ただそれを意識しないというだけのことだ」
と指摘する。

そして今、誰しもが自分の思考の立脚点を求めて、新聞を読み、テレビを見る。
いつから報道機関に権威を与えるようになったのか?
学者や評論家や芸能人の意見に何を求めているのだ。

私たちはもうテレビを見たり、識者の話を聞いたり、新聞雑誌を読んだりするのを止めてはどうか?

「堕ちよ。。生きよ。
堕ちる道を堕ちきることによって、自分自身を発見し、救わねばならない」

人間の弱さがそうさせているなら、その悪しき習慣を断つのは今しかあるまい。
そして、みずからの正しい目でものを見、正しい耳でものごとの善悪を判断し、今やるべきことを考えることだ。

原発が小康状態を保っているのは、あなた方に時間を与えているからだ。

11

プロとは何か

プロとは何か。

とても象徴的な場面をテレビで目にした。
昨日あったプロ野球読売ジャイアンツ対横浜ベイスターズ戦だ。
ジャイアンツの先発はルーキー沢村投手だった。
彼は8回途中まで123球を投げ、自責点は3。
打ち込まれたわけではないが、ボークで走者を進められ、犠飛で先制される。
バント処理では焦って二塁へ悪送球、続くバッターに適時打を浴びた。
剛腕を活かしての速球は確かに魅力があるが、それだけではプロでは勝てない。
ランナーが出たらどうするかとか、マウンドさばきも大事なのだ。

では、プロとは何か?

近代でその事を真剣に考えた偉人は、おそらく福沢諭吉であろう。
『学問のすすめ』の中の「独立」を「プロ」と読み替えて貰うと、ヒントになるだろう。
「独立(プロ)とは、自分で自分の身を支配し他に頼る心のないことを言う。
自ら物事の善悪を判断し、行動を誤らないのは、他人の知恵によりかからず独立している(プロとして生きている)ということだ」

翁は、プロの精神が人格を磨き、プロの存在こそが国家を栄えさせる力となって行くことと信じていた。

そして先日私は、秋葉原の路上ライブをする若い女性シンガーにもプロを感じた。
お客さんはまばら、拍手もまばら。
それでも彼女は(ゴメン、名前も知らなくて)一生懸命だった。

そう。プロは格好悪いのだ。
それでも何か訴えかけるものがあった。
ありがとう。

12

地底探検

巨大地震の発生原因を説明するのによく使われているのが、プレートテクトニクス。
今では至極ごもっともな学説だが、これはあくまでひとつの説。
ほんとうにどうなっているか誰も見たことは無い。

私が小学校3年生か4年生のころ、地球空洞説というのが流行った。
アメリカ海軍少将にして著名な探検家が、飛行機による南極探検中に大きな穴に吸い込まれ、そこで緑豊かな大地を見たという。
同じ頃、気象衛星が撮影した北極の穴という写真も公開された。
これらの出来事で世界中が大騒ぎになった。
振り返って見れば荒唐無稽も甚だしいが、少年の心を捉えて離さないものがあった。

その頃ジュールヴェルヌの冒険SF『地底探検』にハマっていたから尚更だ。
主人公たちは謎の古代文字を解読し、アイスランドの死火山の噴火口から地底世界に侵入。
恐竜や古代遺跡、地底人類と遭遇するというもの。
映画も観た。新旧ともいいね。
それからリック・ウェイクマンの音楽劇。これは今もよく聞く。ipotに入っているからね。

さてこの地球空洞説。その提唱者がすごい。
ハレー彗星のイギリス天文学者ハレー。
数学者オイラー。
エドガー・ポー。
ヒトラー率いるナチスドイツ。
サイボーグ009の石ノ森章太郎。

GW終盤。こんな時は無為に過ごし、馬鹿げたことに思いを巡らすに限る。
家内と下の娘を連れて佐野市の映画館でガリバーを見た。
ジャックブラックはスクールオブロック以来の再会。
ラプンツェルも良かったよ。

なんにしても、今の自分にはこうしたアナクロなロマンが不足していると実感した。

13

異機能の連携

ユッケ食中毒事件。
肉の卸売業者でも店舗側でも、トリミングが行われていなかったことが判明した。
前者は後者を、後者は前者を非難する。
どうにもこうした現象は収まらない。
亡くなった方には気の毒だが世の中の仕組みは、犠牲者が出てはじめてその欠陥が露呈するようになっている。
そんなふうに過ちの歴史は繰り返されている。

とはいえ、他人事ではない。

配送センターを計画した際には当然と思われたことが、まったくその通りにはならない。
タテ割り行政を批判するまでもなく、自分たちが何ヶ月も掛かって作り上げた物流システムが機能硬直してしまう。

事務所と現場。
倉庫部門と運送部門。
責任者とシステム部。

さて、こうした異質機能を有する組織を上手に統合連携させていくにはどうしたら良いか?

それはそれぞれの組織の長が出来るだけ一緒に居ることだ。それに尽きる。
会議の時だけ顔をつき合わせるというのでは、おそらく乖離は広がる一方だ。

太平洋戦争中のアメリカ陸軍と海軍も、最初は敵対していた。
軍隊なんてそんなものだ。どの国でもだ。
ところがアメリカ海軍のキング提督は違っていた。
彼は軍を代表する嫌われ者だ。彼自身誰も好きではなかった。
それでも無理矢理時間を作っては陸軍トップのマーシャルと向きあった。
太平洋を舞台に日本と戦うには、陸海両軍の共同作戦が絶対だったからだ。
ふたりは幾度も怒鳴り合い、罵り合い、テーブルをひっくり返した。

それでも、というか、だからこそ、勝利の女神は彼らに微笑んだのだ。

ふだんよろしくやっていて、状況が悪くなると仲間をなじる~それでは連戦連敗を免れないであろう。

14

静けさ


宮城県名取市閖上~5月11日。
その日からブログ書いていないね。

15

頭上運搬

伊豆大島のアンコは水桶を、頭上に載せて運ぶ。
京都の大原女も朝採れた花や野菜を、ザルや桶に入れて頭に載せて街々を売り歩く。

荷役研究の泰斗・平原直先生によると1950年代には、熊野新宮での材木の貨車積み、セメント袋の倉庫入れ、段々畑への糞尿肥料桶もすべて頭上運搬で行われていたとある。

もっとも奈良興福寺には鎌倉時代の康弁作で、大型灯籠を肩に載せた天燈鬼と頭に載せた龍頭鬼という彫刻が現存している。

http://www.kohfukuji.com/property/cultural/104.html

この事から推察すると、過去には頭上運搬が一般的だった。
今の日本で、頭上運搬・頭上荷役をしている作業現場は皆無だろう。
何しろ荷を担いで距離を歩く事が無くなったからだ。

昨日の東京電力の決算報告があり、同社が原発事故の災害特別損失額を1兆円超と見積っていることが報道された。
それは廃炉とか代替燃料の調達額とかであり、向こう1年のことである。
例えばその後の周辺住民補償、農林水産被害補償、あるいは供給電力の低減による産業界全体に対するマイナス影響は計り知れない。
諸外国への輸出減や、観光収入減などもある。

とうぜん補償は東電が保養所など売却したところで収まる訳があるまい。私ら国民が税金や電気代値上げ分で少しづつ負担するのだ。

債務頭上運搬の時代が到来したのだ。

これをいかにしてゴールデンエイジへと転換したら良いか。
私のブログもいよいよ第二期に突入するかな。

16

婦人輸送隊

欠かすことなくNHK朝の連ドラを拝見している。
時代背景として戦時色が強くなり、それに起因するドタバタが目を離せない所以だ。

見ていたら軍国少年たちの、日本の海軍航空隊と陸軍航空隊のどちらが強いかというディベートが何時しかつかみ合いになったりする。
これは実際のところ日本陸軍の航空隊は、飛行機自体足らず、操縦士も訓練が不充分で、まったく戦力にならなかったというのが偽わざるところだ。

何故かと言えば、答えは簡単だ。
陸軍内部でリーダーシップをとって事に当たっている者が居なかったからだ。

いつもアメリカを引き合いに出して申し訳ないが、米国陸軍にはミッチェル、アーノルド、ドゥリトル、ルメイがいた。
彼らはいずれも、もともとパイロットだった連中だ。
中でもハップ・アーノルドは米国陸軍航空隊の第1号パイロットとして登録された。
みずから操縦桿を握り、第一次大戦前に数々の飛行記録を打ち立てた空のヒーローだった。
ちなみに「ハップ」はhappyの上3文字から取った渾名である。根っから明るいヤンキーだ。

1940年ドイツのフランス侵攻に対し、ルーズベルトは陸軍航空機5万機体制を宣言。
翌年この予算案が議会を通過、各飛行機工場はすぐさま量産に掛かった。

アーノルドは陸軍航空隊トップに任命されたが、その時点で陸軍航空隊には、パイロットが1000人しかいなかった!(@_@;)

彼は5万機の航空機を操縦するには10万人のパイロットが必要と考えた。
そこで各大学に民間人パイロット訓練過程を設けるように働きかける一方、政府にも要請し資金面でバックアップさせた。

そうこうしている内に、飛行機工場では最盛期には月産4000機となった。
前線では技量が高く勇敢なパイロットを渇望していた。
そこでこの工場から航空基地までの輸送に、500時間以上の飛行記録を持つ女性パイロットを当てることにした。民間で3000名ものライセンス所有者がいたからだ。
アーノルドは早速80名を選抜し電報を打った。
WAFS婦人輸送隊の結成である。
最初の仕事はシアトルからP38、P51といった戦闘機を、大陸を横断して東海岸に運ぶことだった。

女性パイロットは大戦末期には1000名を超えるまでになった。誇り高き彼女らは率先してB25などの大型爆撃機を操縦、太平洋や大西洋を渡った。アメリカでは戦時中のロジスティクスは、そのようにして支えられていたのだ。
よく「官・民あげて」とか「国民一丸となって」とか耳にするが、国の存亡を握るリーダーはアーノルドの手腕に学んだ方が良い。軍国少年らもいがみ合っている場合ではなかったのだ。

さて戦争が終わると彼女ら女性パイロットは、士官として軍に残る者もあったが大半は、家庭に戻り良き妻となり良き母となったと伝わっている。

17

大艦巨砲主義

阪神が勝てない。4連敗である。
表面的には終盤、リリーフ陣が「勝ち」を守り切れないでいる様に見える。
しかし現実には幾たびかのチャンスをモノに出来ないでいるのだ。
きざしはあった。
鳥谷・新井貴・ブラゼルの3連続ホームランが出て快勝。
極端に打てなくなったのはそれからだ。
リリーフ陣も久保田を欠いてから踏ん張れないでいる。
今期のJFKが崩れたことに囚われているからだ。

野中郁次郎氏によると太平洋戦争において、日本海軍が逆転できなかったのは訳がある。
それは「日本海軍は自ら描いたシナリオどおりに敵が動くものと考えていた」という点である。
しかもそのシナリオとは、戦艦大和や武蔵など巨大戦艦が大砲を撃って敵戦艦を撃沈、勝利を収めるというものだ。

ところが米国海軍はそんな誘いに乗らなかった。
潜水艦で日本の商船を沈め、兵站を断った。
巨大戦艦に対しては、空を覆うほどの航空機で攻めた。
真珠湾で痛い目に遭っていたからだ。
「あの攻撃方法は頂きだ」~キング提督のほくそ笑みが窺える。
戦争に正々堂々とした一騎討ちなど望むのはバカだ。

原発問題解決にもこの巨艦主義が見え隠れする。
停止だ。廃炉だ。石棺だ、水棺だ。
何でも一度っきに解決する特効薬を求めて止まない。
そんな偶像崇拝から脱却できないのだ。

今はひとつひとつのガレキを取り除くことから始めないとならない。

原発がいけない訳ではない。
面倒くさがり屋がいけないのだ。

18

徐福伝説

飛鳥昭雄氏の㌧でもご説に「徐福=神武天皇」というのがある。
<そんな訳があるまい>とか、<あほらしい>とか言いながらも放っておけない、私みたいなおバカの興味を掻き立てる。
今から2200年前,秦の時代の中国。
徐福は始皇帝に,「はるか東の海に蓬莱・方丈・瀛洲という三神山があって仙人が住んでいる。そこには不老不死の薬がかならず存在しているので、これを求めに行きたい」と申し出た。(史記)
秦の始皇帝というのは私同様おバカだが大人物だから、即決でオッケー!
徐福は若い男女ら3000人を伴って大船団で旅立った。

そして,何日もの航海の末にどこかに到達した。
研究者によると一カ所ではなく、船が途中でバラけ、日本沿岸の複数箇所に散らばったようだ。
徐福一行はおそらくハナっから戻る気などさらさらなく、子孫ともども日本に永住し土着。
しかも機織り職人,紙職人,農耕技術者,漁業特に捕鯨などの専門家や、木工技術者,製鉄技術者,造船技術者など生活に関わる技術を習得しているものが多数。
各地に徐福の功績を称える伝説や石碑などが存在している点から見て、彼ら渡来テクノロジストはとうぜん日本国の形成に少なからず影響を与えたのだ。

ドラッカーが『明日を支配するもの』で指摘した通り、テクノロジストは社会を変えた。
その意味で「徐福=神武天皇」説は大いにありうる。

19

ツル先生~!

恩田陸の常野物語に出てくる、愛すべきキャラ。ツル先生。
年齢不詳、というか、何年も(80年という説あり)とある分教場で校長をしている。
常野の国の人たちはそれぞれ、一芸に秀でている。
万巻の書を記憶してしまう者。
他人の過去を一瞬にして覚り得る者。
「遠目」といわれる予知能力を持つ者や、「遠耳」といわれる離れた場所で起きている出来事を目の前のことの様に聞くことができる者。
ツル先生も「つむじ足」といわれる早足健脚の持ち主だ。
彼らは常野の国を出て、一般社会に混じりひっそりと暮らしている。

福島第一原発は1・2・3号機ともメルトダウンを起こし、圧力容器の外側にある格納容器に7センチから10センチ程度の穴が複数開いている可能性があると発表された。
冷却システムが停止したのち、燃料の出す熱で水位が低下、燃料棒がむき出しになり、3000℃以上の高熱で溶融していたのだ。

「遠耳」ではないがメルトダウンが既に起きていた事実は、私たち素人でも容易に想像できていた。
それが何ゆえに発表までに2ヶ月以上も時間が掛かっているのか。
まあ、それも仕方ないか。いかにも日本らしい組織仕事ではないか。

それから海水注入に「待った」をかけたのはいつ、誰が行ったとかいうのも、どうでもよい。

問題は進捗中の工程表が、圧力容器に穴が開いているということを前提にしていない点だ。

既に大量に存在している、そしてこれからも大量に発生しそうな汚染水。その処理をフランスの何とかという会社だけ頼りにしていて良いものか?
今は汚染水処理こそ最大課題ではないのか!

起きてしまった事象を悔いていてもはじまらない。
当事者を吊るし上げても意味はない。

起こりうる事態を未然に防ぐことは、「今」しかできない。

ツル先生。あなたならどう対処するのでしょうか?

20

メールツェルの将棋差し

小林秀雄は学生の頃、エドガーポーの作品を翻訳して稼いだことがあった。

そのひとつに、ハンガリー出身のある男が自動で将棋を差す人形を作り、ヨーロッパ各地で興行。大成功を果たすも、ある時それを見物したポーにその秘密を見破られるという話がある。

はじめは何処かに人間が隠れているに違いないと、誰しもが疑う。
ところがオペレーターが機械のあちこちにある扉を開けて、中の機械の仕組みやら歯車やらパイプやらを見せる。

すると、見物人は機械が自動で動いて将棋を差すのだとすっかり信じてしまう。

私たちは一旦信じたことに疑問を挟まない。

特にテクノロジーに対する信仰は狂るおしい。
パソコンとかスマートフォンとかを持つと、仕事ができるようになると思い込む。
人生を豊かにできると思う。

ところが現実には、人生の貴重な時間を取られているに過ぎない。

物流の世界もそんな世界だ。
SCM
3PL
WMS
物流ABC
震災後のリスクマネージメント
それから、物流コンサルタント
(ちょい痛いかな)

世間の多くの人々が目が見えなくなってしまっている。
常識がゆらいでいても気づかなくなっている。

むしろ、軽く疑惑の念を抱きつつも、それを強烈に打ち消すものを求めてやまない。
ダマされたいと、心の底から欲しているかのようである。

21

太陽光発電

今人類は色々なことで、火力発電・原子力発電に替わるエネルギーを模索しなければならなくなった。
自然エネルギーの最右翼は、風と太陽だ。
まさにイソップ物語。

太陽電池は1954年にアメリカのベル研究所で発明された。
ベル研究所はご存知の通り、電話や通信の研究開発機関。
太陽電池ははじめ、砂漠地帯の通信基地で使われる発電装置だった。
1980年頃から日本のメーカーが電卓に採用して知名度が高まり、1992年に住宅用が設置されはじめた。

太陽電池の材料はシリコン。
なぜ、シリコンなのかと言うと、シリコンが半導体の性質を持つからだ。
それに埋蔵量が多いというのも期待される所以だろう。
ふつうには酸素と混じり合って二酸化ケイ素として存在しており、地球の地殻の28%がシリコンなのだ。

さて、世界的にはドイツが太陽光発電パネル設置量のリーダーだ。
もっとも2005年までは日本がトップだった。
どうして日本よりドイツの方の伸びがよいのか?
それはFITフィードインタリフ制度、発電した電気を電力会社に買い取って貰える制度があることだ。

つまり日本では、環境問題に関心のある個人や企業が設置する&国や自治体が補助金を出すくらいのもの。
ところがドイツでは補助金ではなく、設置費用の10%を毎年分配金として保証するとともに、電気の買取り価格を上げた。
環境問題・エネルギー問題に関心があるかないかではなく、投資対象となっているのだ。

この制度を発明しプロモーションした人は凄い。
英知というのはこういうことを指す。

それに日本の結晶シリコンは、純度99.9999%以上に精製される。
コストが張る所以だ。
ドイツではそんなこだわりは無い。
もっと低純度でも充分発電できるし、とうぜん安価で大量生産できる。
おーっ、ドイツばんざい!

純文学ではないが、日本は科学技術に対して童貞過ぎやしないか。

22

冒険者たち

ロベール・アンリコ監督の『冒険者たち』(1966年)。
多くの人にとって忘れられない映画だろう。

パイロットのマヌー(アラン・ドロン)、自動車エンジンを開発中のローラン(リノ・ヴァンチュラ)、駆け出しの前衛芸術家レティシア(ジョアンナ・シムカス)。
3人それぞれ現実社会で夢破れ、コンゴ沖に沈んでいると伝わる財宝を求めてアフリカ沖へ旅立つ。
見事財宝を発見するもギャングに襲われ、レティシアは命を落としてしまう。
男ふたりは彼女の亡骸を潜水服に入れ海底へ沈める。
このときの美しくも、うら悲しいスキャットは誰が作ったんでしょうね。

レティシアの分け前を故郷に届けるふたり。
そこでレティシアが生前話してくれた古城を発見。
喜ぶふたりに、彼らの財宝を狙う一味が性懲りもなく忍び寄る。
銃撃戦で撃たれてしまうマヌー。駆け寄るローラン。

「レティシアはお前と一緒に住みたいと言っていたぞ」
「この大嘘つきめ」
ローランがマヌーに言ったんだか、マヌーがローランに言ったんだか。
もう頭が混乱してます。(*_*;

大西洋に浮かぶ古城と、屋上に息を引き取ったばかりの友。そのかたわらで立ち尽くす男。
膨大な財産を手に入れたというのに、ローランはまったくの孤独だ。

それから私にはもう三人、忘れられない脇役たちがいる。
財宝を乗せた船の、もと関係者のハゲた中年男。マヌーとローランにいたぶられてすぐ、口を割ってしまうだらし無さだ。
もう一人関係者で船の沈没位置を調整、財宝の発見に寄与したものの、ギャング一味来訪に最初に手を出して、レティシアの死因を作ってしまう。そのかどで小舟で流されるサエない顔。
レティシアの育ての親だが、はじめ素性を知らずマヌーらに冷たい態度を取る女。生活に疲れ切っている。

こうした脇役たちは自分に似ているから、見ていて辛い。

夢は夢でしか無く、語ることはない。
日常から離れられない。
ずる賢い。
臆病。

それでもつかの間の夢は見るのだ。

23

ヤマの姿

ユネスコの世界記憶遺産に、福岡県飯塚市出身の山本作兵衛(1892~1984)の炭鉱記録画が登録される。

山本は父親について7歳の頃から50年以上炭鉱で働いた。
炭鉱警備員となった63歳から絵を書きはじめ、亡くなるまで描き続けた。
その数2000点。

山本のエライのはあくまで記録として後世に伝えたいとしていることだ。
絵画としての評価や、絵描きとしての評価など眼中にない。
したがって題名も無い。
気持ちが説明書きとなって所狭しと綴られており、山本の心根の純粋さが胸を打つ。

「狸掘り」といわれる作業を描いたものがある。
男はふんどし一本。
女は腰巻だけで、乳房も露わである。
男の方の作業は先山と言って、ツルハシで掘り進める役目。
女の方は後山と言って、先山が掘った石炭をザルでかき集め、スラと呼ばれる炭車まで運ぶのである。

男女ひと組で行うが、普通ふたりは夫婦。
切羽という、鉱脈のいわは毛細血管の採掘を請負う。
坑道の高さは60センチ。
先山が掘り出す量と、後山が掻き出す量を合わせなければ、夫が石炭に埋まってしまう。

荷役の泰斗・平原師もこの作業をレポートしている。
師はとくに、スラを曳く女鉱夫に興味が湧いた。
何しろ屈強な男でも嫌がるスラを、女がひとりで曳く。
スラ箱の中身は石炭250kg。
平らな舗装路でもむづかしい。
そうした作業を上がり勾配だろうが下り勾配だろうが構わず、女たちは這いつくばり何回も行う。

一年365日、何十年と行なわれる人生の荷役である。

田川市石炭歴史博物館のホームページへ

24

草取り

ビルの壁にだらりと伸びた赤紫色のツタが伸びている。
ホテルの壁にも巨大な紫のツタの葉が一面に覆いかぶさろうとしている。
・・・なんと禍々しい眺めなのだろう。蜘蛛の巣のように伸びていくツタの茎が、爬虫類の舌のように見える。いったいなんなのだろう、これは。まるで何かの意思を持っているような・・・
自動販売機のコイン投入口。排水溝のフタ。地下鉄のポスター。ショーウインドー。
さらには人からも生えている。

再度恩田陸氏の『光の帝国』の中の「草取り」から引用させて頂いた。

怖ろしい光景だ。夢にまで出てきた。
前に読んだときはこんなに<響く>ことはなかった。
草は大震災以来、テレビでよく見受けられたからだ。

この草はどうして生えるか?
草の正体は何か。

—『論語』公冶長篇—
子貢が「私は、自分が他人からされたくないことは、自分でも他人にせぬようにしたいと思います。」と言った。
孔子は即座に叱った。 「そいつは君にはできないね。」

師は弟子に生えた草を見逃さなかった。

—『論語』衛霊公篇—
では「何か一言、終身努めねばならぬような言葉はないでしょうか?」
「——それ恕か。己の欲せざる所は人に施す勿れ。」
(其恕乎。己所不欲、勿施於人。)
(それは思いやりだろう。自分の望まぬことは、他人にするな。)
孔子は子貢の着想を子貢に返してやった。
<恕>は、自己を抛棄してはじめて可能となる愛の行為だ。

自己に執着していてはどれ程の行為も、毒々しいツタを伸ばすだけだ。

25

リスクへの対応

リスクへの対応について幾つかのこと。
対策には緊急対応すべきものと、長期に亘って形づくるものがある。
家族の安否確認が前者に当たり、その連絡方法・確認方法をあらかじめ決めておくというのが後者に当たる。
被害状況を確認したりするのに対し、震災備品を用意したりするのもそうだろう。

では企業のリスクマネジメントとは何か?
それはずばり、広報活動のことだ。

企業の広報とは正確な情報を収集し、事業継続をするために社内・社外に向けて、何を情報発信するか。
その器量が問われる。
というのも緊急時異常時にあっては発信する情報如何によって、その企業、その組織・団体が生き延びることができたり、できなかったりする。
それは現在もっとも注目されているふたつの組織、東電と民主党を見れば明らかだ。
ソ○ーも下手だが。。。
いずれにせよ広報担当は普通は経営トップが行う。
不慮のこともありうるので、セカンドキャビネットも用意しておくこと。

さて震災後3か月が経とうとしている今、長期に亘って形づくるという点が課題だろう。
カギを握るのはリスクマネジメントではない。
プロジェクトマネジメントだ。
要は実行力。
プランを実行し、理想をカタチにできるかだ。

26

正しさとは何か

ABC分析には落とし穴がある。

セブンイレブンの鈴木敏文会長はある日の昼食で、自社の赤飯を口にしてあっと思ったそうだ。
それはおいしくなかったからだ。
道理でこれは売れないはずだと認識した。
そして作り方を尋ね、それが他のご飯ものと同じ炊飯ラインを使っていると知るや、「なぜ蒸さないんだ」と率直に感じた。

おそらく赤飯のまずさが、他の商品にも反映するだろう。
他のおにぎりやお弁当も、赤飯と同じに見られてしまうだろう。
そして客の心が離れていく。
いったん離れた客の気持ちを取戻すには並々ならぬ時間が必要だ。

それにABC分析に照らし合わせて、売れていないからということで、赤飯を棚から外してしまうことは簡単だ。

それでも。。。鈴木会長は一縷の望みをかけて、自分の感性を信ずることにした。

もち米を蒸すための設備投資と、もち米そのものの見直しを即座に決断、指示を出した。
それはコストと効率を無視したものだったが、お客は赤飯を買う以上、赤飯にある特有のおいしさを期待する。
たしかに製造担当者は与えられた前提条件の中で工夫していた。それなりに頑張っていた。
それでもそもそも赤飯を作るに際して、本来あるべき「正しさ」とはかけ離れていたのだ。
これをまず正しいかたちにすること。それからだと。

はたせるかな、赤飯は大ヒット商品となり、新たなお客を呼び込んだ。

27

トップの資質

プランを実現する手法について質問があったので簡単に説明する。
1.目標の設定
2.役割とくに実働部隊の組織編制
3.プロセスの見える化
4.教育

とくに大切なのが、最初の部分。
多くの企業や組織で見られるのが、目標が設定されていないことだ。
この業務は何のために行われているのか。
そもそも企業理念は何を実現しようとしているのか。
自分に与えられた役目、仕事は何を目指しているのか。

組織の構成員に質問をしても、答えは曖昧だしハラバラだ。
答えられない者も存在している。
大義名分がない仕事ほどつまらないものはない。

この最初の項目が明確になっていれば、心を一つにできる。
迷わないから無駄がない。
その分時間も短縮できる。
工数が減るからコストも掛からない。

トップの資質とはずばり、目標を設定することにある。
なあんだ、と思う勿れ。
とくにあなたが参謀役なら、トップのケツを叩いてやってくれ。

28

桃太郎伝説

日本の昔話の代表格、桃太郎。
アカイ☆コウジ氏によるとおとぎ話はすべて、「未知との遭遇」なんだという。

桃太郎に関して言えばそもそも、どんぶらこどんぶらこと流れてきた桃が円盤。
ロズウェルみたいに故障してたのね。
ゆえに桃太郎はこびと型宇宙人?しかも美少年系。
鬼ヶ島は言わばガミラスで、鬼はデスラー。彼は青鬼だね(^O^)。
犬・猿・キジもそれぞれそういう型の外来種。
きび団子はある種のサプリメントで、不滅のエネルギー源だ。
彼ら3匹はそれを手に入れるために命を投げ出してまで、桃太郎に従った訳ね。OH!YEH!

同様に花咲かじいさんの灰も、季節はずれの桜を開花させる未知のパワーを持つ。

おつうさんはヒト型と鶴型のトランスフォーマー。
彼女の織った布を買った人はすぐ名乗り出るべし。
それからこの話、世界各地に伝えられている「見るなのタブー」を犯す物語のひとつでもある。
美人でもあるしね。老夫婦でなくてもそりゃ心配になるわ。

それから、美人といえばかぐや姫。
これは疑う余地なしの、宇宙人帰還ものがたり。
姫を奪還する圧倒的なテクノロジーと無力すぎる平安武士。
ハリウッド映画以上のど迫力。見たかったなあ。

逆に地球人が他の惑星から帰還するのが、浦島太郎だ。
光速を超越した結果生じるタイムラグまで表現されていて、現実にあった出来事でないとしたら、これを創作した人は天才。

29

緊急支援物資のロジ

月刊誌ロジ・ビズの先月号を時間をかけて読んだ。
とくに冒頭の宮城県トラック協会会長の話。
震災時のロジのご苦労が率直に語られている。
誠に勝手ながら引用させて頂くことにした。
・・・・・・
震災の翌日から緊急支援物資が全国から集まってきた。
当初は議会ホールなどの公共施設で荷受けしたが、すぐに満杯。
倉庫協会と協力して、倉庫業の施設を提供して貰った。
現実にはほとんどが被災していて使えなかった。
それでも人手を投入して、救援物資を品目別に分けた。
ところが、指示のない荷物、予定外の荷物がどんどん入ってきた。
それはすぐに必要のないモノ、カップ麺のようにすぐに食べられないモノばかり。
使える倉庫、使える荷捌き場がそういうモノであふれた。
荷受けのルールを守り切れなかった。
ましてや、我々の立場ではすぐに必要のないモノを、持って帰ってくれとは言えなかった。

二次輸送(物資の集積所から避難所までの輸送。ラストワンマイルとも言う)では自治体の指定避難所は分かり、そこまでは比較的楽にモノを運べた。
ところが自然発生的にできた避難所を把握できていない。
その情報が決定的に不足していた。
燃料の確保も思うようにはできなかった。
地下タンクがあってもポンプが動かなかった。
一方でテレビでは避難所に物資が届いていないと盛んに伝えていた。
送ったモノが届いていない、どうなっているのだと言われて、我々は辛かった。
・・・・・・・・・
確かにテレビでは支援物資の滞留を過剰に取り上げ、ロジが悪者になっていた。

30

栄光のラストワンマイル

前話のつづき。

とくに避難所への最後の一歩。
ラストワンマイルがうまく行かず不評だったのが特徴。
各市町村という行政組織や、警察・自衛隊・米軍、物流事業者に県の災害対策本部。
そこにボランティア。
そういう集団で良くやったなあ、というのが正直な感想だ。

後日談を伺うと物流事業者たちは、プロ根性でなんとか乗り切ったという感じだ。
宅配各社は既存の支店・営業所に、関東から人と車を投入してしのいだ。
まずは末端の「営業店止め」を再開。
以降、一部地域の集配を再開させ、全地域に波及させた。
それだけでも大変な尽力。

このラストワンマイル、避難所へのモノの輸送だけの取り組みではダメで、物資の集積所の運用も含めたロジや、被災地の需要を満たすロジ~いわゆるデマンドチェーンを構築した方が良いようだ。
それには保管方法や、品目別・品種別管理といった在庫管理のノウハウも必要だろう。

そうなると配送センター業務に長けている物流事業者が、組織力を活かしてその地域、その地区のロジを請け負う形態が最も効率が上がるかも知れない。
現にヤマトに全委託した行政もあったと聞く。
こんな時、政府はバーッとお金を使ってプロに任せる特別法案を作るくらい、太っ腹なところを見せて欲しいもんだ。

それから、情報がつながらず発生した混乱状態。
これは近い将来起こりうる大震災、大災害時にも同様に問題になるだろう。
携帯電話がつながらない。
メールも送れない。
テレビに何も映らない。
未曽有の大惨事と言うのはこのこと自体を指すのである。
政府は電力会社への働きかけばかりではなく、電話会社へも要請を出そう。
電話各社も現行システムが使えない場合の、第2第3の道を確立しておいて欲しい。

31

国譲り神話

神話時代、葦原中国は大国主が支配していた。
高天原は大国主に国譲りを申し入れるため、使者を遣わす。
ところが最初の使者アメノホヒも、次の使者アメワカヒコも大国主に懐柔されてしまった。もうろくすっぽ報告も来やしない。
高天原は大いに焦った。
そこで第3の使者として、タケミカヅチとフツヌシを出雲に降臨させた。
いざとなったら武力で奪えとの、含みを持たせた派遣であった。

大国主は時間かせぎにふたりの息子に諾否の権利を与え、彼らに訊いてくれと責任逃れの呈を装った。

ところがひとり目のコトシロヌシは「はい分かりました」と言ったきり、さっさとどこかに行ってしまった。。
こういうやついるよね~f^_^;)。

もうひとりのタケミナカタはタケミカヅチに闘いを挑むが、まったくかなわず、信州は諏訪湖まで逃げた。
実際には腕相撲でもやって力比べをしようと手を握り合ったところ、そのまま手を砕かれて、戦意喪失したらしい。
恐るべしタケミカヅチ。

頼みの綱が役に立たず、大国主も国譲りに同意した。

とはいえ、大国主もしたたかな知恵者。
命ばかりはご勘弁を。自分は出雲に隠れますとの条件を出した。
このことで大和の支配権が出雲を含むのか含まないのか、曖昧になってしまった。

この二枚舌政治は日本のカルチャーとして定着。
つい先ごろもあった。とくに政権交代とか、やばくなると遺伝子が目を醒ますようだ。

ところでこのタケミカヅチは茨城県にある鹿島神宮の祭神。
ここに東北遠征した朝廷軍の拠点が置かれた縁によって、長く大和朝廷の守護神として祀られている。

ところが事もあろうに、3.11でこの鹿島神宮の大鳥居が根元から折れて倒れた。Oh,My God!
タケミカヅチ。
神話時代からずうっと、大地震を起こす大ナマズの頭を剣で押さえつけてきたというのに。。。

何で今、止めちゃたんだい?
もうやんなっちゃたのか。
いったい何があったんだ?

32

動物に餌をやらないで

動物園に行くと、檻の前に「動物に餌をやらないで下さい」という表示が出ている。

どうして、こんな表示が必要なのか?
動物がお腹をすかして可哀想に思うからか?
それは違う。
動物が動くのを見たいからだ。
動いているのを見たいのだ。
寝ているのを見せられてもつまらない。

それから餌をやるのは幼い子どもたちではない。
いい大人がやるのだ。
「パパ、やめなよ~。」とか言われながらでも。

また、球場の観客が異常に興奮しているのは、一塁ランナーが盗塁するのを見たいからだ。
福本豊だって観客が応援してくれなければ、年間106盗塁なんて出来やしないだろう。

動物と見物客、盗塁王と観客は一体化する。
そうこなくっちゃ、ダメなんだ!

骨折した箇所のレントゲン写真を見ている外科医と患者。
つっけんどんなウエイトレスとお客。
セールスマンと昼下がりの人妻。
どーしたって一体化を免れない。
そうこなくっちゃダメなんだ!

33

プリンキピアの世界

『プリンキピア』はニュートン44歳のとき、世に送り出された。
それまで独立していた数学、力学、天文学をまとめ上げ、自然科学の新たな扉を開けた。

と言っても既にニュートンは20年前に微積分法、万有引力の法則、光と色に関する理論は完成していたのだ。
それはロンドンでペストが大流行し、その難を逃れて故郷の村にいたわずか1年半間の成果であった。

ではその大発見から20年、彼は何をしていたのか?
実は聖書研究に費やされていたのだ。

ニュートンは幼い頃の抑圧された原体験を引きずっていた。
彼の父は彼が誕生する3ヶ月前に急死、母が再婚した相手は教会の司祭だった。
その養父からは疎んじられたばかりか、生母との面会すら許されなかった。

だから、彼は求めた。本当の愛の姿を。神の言葉を。

「・・・宇宙は神が自ら造った世界。
神は自らの言葉で宇宙を造ったのだ。
史書は賢人の知恵を通し、自然科学では天文学や力学を通し、神の言葉を解き明かすだろう。
私は宇宙が数学で書かれていると信じる・・・」

ニュートンの祈りはひとつのかたちを残したのだ。

34

長干行

朝の連続ドラマも、戦争が愛するふたりを引き離してしまう、今日このごろ。
唐の詩人・李白の『長干行』を思い出したので、今日は訳文の一部を掲載する。
・・・・・・・・・・
前髪がやっと、額をおおった幼いころ
わたしは家の門の前で、花を折って遊んでいました
あなたは 一本の竹にまたがってやってきて
井戸のまわりを回って、青梅をおもちゃにしてました
同じ長干の町に住んでいた私たちは
むじゃきな幼なじみでした
わたしは十四歳であなたの妻となりましたが
はにかんで、顔をあわせることもできませんでした
わたしは顔をふせて、暗い壁にむかい
千回よばれても、一度もふりむけませんでした
十五歳ではじめて顔に喜びを浮かべ
死んで塵と灰になるまで、一緒にいたいと願いました
わたしが十六歳のとき、あなたは遠くに出かけました
行く先は、長江のはるか上流
そこには猿が棲んでいて
その泣き声は悲しく響くそうですね
(中略)
いずれあなたが、三巴をくだって帰るとき
どうぞ、あらかじめ手紙で知らせてくださいね
わたしは、きっと、あなたを迎えに行きます
はるか、長風沙あたりまでも
・・・・・・・・・・・
李白ってさ、やっぱり酒を飲むばかりの、ただのオヤジじゃなかったのね。

35

鷹見泉石像

わが町古河出身の有名人の中でも、もっとも重要な人物。それが鷹見泉石だ。
江戸幕府後期の蘭学・西洋学を実践した点で、もっと高く評価されてもおかしくはない。

一般的に鷹見泉石の名が知られているのは、渡辺崋山が描いた『鷹見泉石像』だろう。
という事だから、とうぜん泉石の直接の功績ではない。
それから大塩平八郎の乱を鎮圧したということで一部に知られているに過ぎない。

それでも華山が東洋画法と西洋画法をクロスオーバーさせた意欲作のモデルをつとめたのは事実。。
ということは泉石が華山をインスパイアさせる何かを持っていたということにもなる。
ちなみにこの肖像画は人物画として国宝になっているもっとも新しい作品。

また泉石は地理、歴史、兵学、天文、暦数などの文物の収集を行った。
とくに地図がことのほか好きだったようで、オランダの地図や伊能忠敬の地図を書写している。
江戸から日光への旅程早見表も作っている。
※『日光駅路里数之表』(国指定重要文化財)~ 古河歴史博物館にぜひお越しください!!

大塩平八郎の隠れ家を見つけるのも迅速で、軍事面警察面に力量があるようだ。
この功績で主君・土井利位を京都所司代から老中に出世させることに成功しているんだから、侍としてもなかなか侮れない。

そして現代、泉石のような人物が求められる。
つまりロジックをかたちにできる人間だ。

知識の神髄はそれを応用することにある。by 孔子

36

社名の由来

私が一昨年9月よりスタートした会社。ロジスティクス&ビジョン。
昨日は会ったばかりの方に、社名が持つその真意を当てられてしまった。

実は社名に起業理念がある訳ではない。
いわばヒロソフィだ。

かたちあるもの&かたちの無いもの。
滅失&再生。
ひとつの答え&いくつもの答え。
必要なもの&既にそこにあるもの。
。。。。

ひと月ほど前このブログに、ジャンヌダルクのことを書いた。
その中での、王太子との問答におけるジャンヌのセリフにも由来する。
「・・・兵士が戦い、神が勝利をもたらすのです・・・」

中国の故事にも。
「人事を尽くして天命を待つ」
たしかそれも書いた。

37

ダークサイド・オブ・ザ・ムーン(月の裏側)

まずはフジサンケイビジネスアイ2010/5/28の記事を転載させて頂こう。
・・・・・・
「バイアス」という言葉をご存知だろうか。
冷静な時とは別の行動をしてしまうこと、あるいは、過ちに気付かない心理状態を意味する。
これは人間であれば誰もが陥る。

「みんながやっているから問題ない」~赤信号を渡ることはないか?
「誰も見ていないからわからないだろう」~領収書をゴマかしたことはないか?
「これまで大丈夫だったから大丈夫であろう」~会社のPCでアダルトサイトを閲覧したことはないか?

これらは自分が法規制に違反していることを理解しながら、行動してしまうときの自分に対する言い訳である。

それから、
「会社のためだ」~特に企業の場合、会社のためだという正義感バイアスから重大な法令違反に発展するケースが多々みられる。
大手食品製造メーカーの賞味期限や産地の偽造など、現場担当者は、その行為が法規制違反であることは理解していたハズ。
さて(万が一)発覚した場合、あくまでも一社員の個人判断による違反行為とし、責任を個人に擦り付けた。
そのことにより組織の信頼をつないできた。
・・・・・・
と、思っていた。
ところが世間は誰もそう都合よく考えては呉れない。
個人も組織も隠し事が許されない。
システムは止まり、ロジックはほころび、ボトルネックは詰まり、あれほど二重三重にしておいた秘密のベールは取り除かれ、すべてが露わになる。

そういう好事例が最近は新聞を賑わせて飽きさせない。

38

災害・SCMにおける対応

昨晩多摩大学大学院でSCM災害への対応と題した、公開講座があったので聴講した。
講師は松本忠雄氏で花王ご出身というから、どこかで接触があったかも。。

さて松本先生の論点は明確で、およそ3点に絞られる。
本日は同大学と先生の許可なく掲載してしまうので、クレームがあるまでのイノチかもよ!
・・・・・
まず前提として、日本の根幹である製造業を守ることが重要だ。
それでは誰が守るのか?
答えは自分。
国や業界で守ることはない。
法律や補償制度の成立、災害対策インフラの整備を待っていてもダメなんだということ。

また、災害発生時の指揮命令系統の整備も大事だ。
それではその指揮は誰がやるのか?
答えは自分。
政府や行政機関は会議を増やすばかりで何もしない。
自衛隊も災害規模が大きければ人命救助だけに専念するだろう。
サプライチェーンの場合は供給側が責任をもって、次のサプライヤーに渡していく形。
つまり中央統制型ではなく、自立分散型で立て直すことだ。

それから、建物・設備の耐震を強化するのではなく、揺れを吸収する免震思想へ転換。
つまり頑張ったところで自然の脅威には勝てない。受け入れてしまう思考。
だから先日NHKで取材していた在庫分散、在庫量増加、調達先分散、製品仕様変更、共通部品化は徒労に終わるだろう。
それよりもサプライヤー間で在庫情報のプラットフォーム化を推進する。
どこかのコンピュータシステムが回復すれば、次の手を打てる。

それで結論としては、このサプライチェーン在庫データの保全方法を確立すること。
そしてシミュレーション技術の開発。
・・・・・
やっと、我がフィールドに来ましたね。。。

39

リーダーの姿

大前研一氏の知人の話。
その人は非常に頭が切れ、知識も豊富。
経営手腕もあり、有能だった。

その彼が故郷を発展させようというので、Uターンした。
地元の人たちも、すごい人が来てくれたと大歓迎。

ところがしばらくすると、一緒にいると気まずいと言われるようになり、誰も寄りつかなくなってしまう。
何故か。。。

彼ははじめビジョンや戦略・構想力を発揮、グループをぐいぐい引っ張っていった。
ところが「ある心」に欠けていた。
ある心とは、要するに相手と徹底的にかかわる時間を取るという事だ。
相手の意見を聴く。
相手が深く納得するまで説明する。
共に汗を流す。
何度も様子を見に行く。

こういう事を端折ってはならなかったのだ。
こういう事の積み重ねを疎かにしてはならなかったのだ。

物事が成就するには膨大な時間を要する。
リーダーというのはそうした時間の長さに耐えることが出来る人の事とも言える。

大前氏は知人がそれを時間の無駄とした、そのところに誤りがあったと評している。
・・・・・
と言うか、この知人というのはまさに私のことを指しているようだ。。。

40

IT、発展のポイント

IT自体を構築する人と、ITを使って何か別のものを構築する人がいる。
本日は前者~IT自体を構築するポイントを述べる。
まあシロウト考えではあるが。。

まずITは人間にほんとうの幸福を、もたらすものであって欲しい。
ほんとうの幸福というのが重要なキーワードだ。
ゆえにITの開発を担う者はこの、ほんとうの幸福がいったい何であるか。
それを知るべきであろう。

そして人間が達成したいと願う目的に近づけるための、補助となるべきである。
そのためにはマーケティングにおいて、人間が達成したいと願う目的が何であるかを、把握しておかねばならない。

上記2点を知り得たなら、いよいよ実現あるのみである。
ところがそれには覚悟が要るのだ。
一切を遮断してじっくり取り組まねばならないからだ。
この一切を遮断するということを、甘く考えてはならない。

どうも現代社会は、他人を気にし過ぎる。
他人の眼。
他社の動き。
顧客の意見。
マスコミのウケ。
諸外国の反応。

エゴイストになれという訳ではない。
自分をもっと信じろと言っているのである。

はたして、自分の信念に忠誠が誓えるのか。
10年間。
叡智を産むという闘いに、立ち向かえるだろうか。

10年後。
あなたに与えられるのははたして、称賛か、自己満足か。

41

ジャズの掟(おきて)

ジャズは即興がイノチ。
とはいえ何をやらかしても良い訳ではない。

人とあったとき挨拶をするように。
名刺を交換するように。
とりあえず天気の話でもするように。
ジャズにも掟(おきて)がある。

曲は基本的に、テーマを演奏→即興でソロを回す→テーマを演奏、と構成される。

テーマはメロディとコードで成り立っている。
ソロのパートでも、このテーマのコード進行に基づいた即興演奏がされる。
凡そそれがジャズの掟と称するものだ。

ところがそれではプロとして稼げない。
ジャズマンとして喰っていくには、他の業種業態と同様、顧客を感動させなければならない。

そこで近代ジャズが生み出した数々のワザがある。

dimディミニッシュ:マイナースケールの半音下がった7番目の音を加えるとか、
sus4サスフォー:メジャースケールの代わりに4番目の音を加えるとかで、
コードに変な響きを入れたりする。

とくにソロで即興演奏するときに、黒人特有の民族的音階マイナー・ペンタトニックスケールを用い、その3度・5度・7度の音をフラットさせたブルーノートを用いて、わざとズレた音を入れてみたりとかする。

そうするとピアノやギターがコードをばらしたり変形させたりしながら絡んでくる。
先ほどのコードに変な音を混ぜるだけでは飽き足らず、テンションといって9番目11番目13番目というあっちの方?の音も鳴らす。
しまいにはよせば良いのにそれにシャープやフラットまでも付けてくる。
それだけ聞かされても原曲を聴き分けることは困難だ。。

しかしながらジャズの醍醐味はドラムとベースの醸し出すリズムにこそある。
シンコペくらいならまだしも、変拍子のフィルインで、もう訳が解りません。
そのスリリングさこそがこの音楽のイノチではないかと思う。

とまあ、これはひとつのチームワーク、ひとつのプロジェクトなのだ。
自分勝手に先走る輩が出ても、不協和音が聞こえてきても、重戦車よろしく突き進むのみだ。
プロのする仕事とは、かならず何かで何かが表現されるもの。
そうだ。それが唯一の掟(おきて)かも知れない。

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東電OL殺人事件

昼は日本を代表するような大手企業のエリートOL、夜は売春婦。
1997年3月19日井の頭線神泉駅近くの、古いモルタル造りのアパートの一室から、彼女は遺体となって発見された。
一昨日、昨日とこの題材を扱ったノンフィクションライター佐野真一氏の著作を一気に読んだ。

佐野氏によると、円山町と東電は見た目関係なさそうで、地下深くで暗合するという。

事件のあった渋谷区円山町はもともと荒木山という小高い丘だった。
そこにはその昔、江戸の人々の信仰を集めた富士講の本部があった。
江戸の町外れ。
道玄坂をいったん登り、下ったあたりは隠亡谷と呼ばれ、谷全体が火葬場だった。
現在の神泉駅付近である。
このように円山町は一帯が、生と死の交叉する場所だった。

花街となったのは明治の中ごろで、新橋からワケありの芸者衆が集団移転してきてからだ。
戦前は料亭と待合が300軒を超えていたという。
ここがラブホ街に変身するようになったのは、昭和30年代の頃。
岐阜の奥飛騨にある御母衣ダムの工事にともなって水没した村の人々が、膨大な補償金で円山町一帯の土地や建物を買い占めたのだという。

御母衣ダムは最大出力21万5000kWh。
東電の前身、日本発送電の事業であった。
円山町一帯を買い占めた村の人々は、ダム建設賛成派の人たちだ。

殺された東電OLの父親もまた東電職員。
増大する都内の電力需要に対応するため、27万ボルトもの超高圧系統を東西南北からそれぞれ引き込む一大プロジェクトを統括するポストに就いていた。

彼女じしん、慶応女子、慶大経済と進み、東電入社後は電力と社会経済に関する調査部署に勤務。
研究者として名の知られる存在だった。

江戸町人の信仰を集めた生と死の地。
戦後の工業による復興を支えた巨大ダム。
立ち退きを余儀なくされた人々が再起を誓った場所。
そこで立ちんぼとなって二重生活を続ける女。

これはどうした訳なんだろう?

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液状化現象-1

この度の大震災で液状化現象によって多くの被災された住宅があった。

液状化現象は一般に軟弱地盤の上で発生する。
大規模な軟弱地盤は、氷河期を挟んで海水面が上がったり下がったりした痕跡だ。
沖積地という。
ちなみに最大の沖積地は関東平野。
縄文時代前期6000~4000年前は海だったところだ。

しかし今回の揺れによる被害はもっと細かな地区・エリアで分かれた。
それは「微地形」と呼ばれるものだ。
平らに見える土地もかつては5m以内のデコボコがあったのだ。
溺れ谷、旧川筋、三角州、潟湖跡、沼沢地跡などがそれだ。
私たち日本人は長い時間をかけてそうした沼地などを埋め立て、水田とし、それをさらに埋めて宅地化した。
日本人のおよそ7割もの人口が、軟弱地盤の上に住んでいる。
被害のある無しは、比較的大丈夫だったところと、限度を超えたところがあったというのが真相だ。

不安を煽りたくはないが、私たちの住んでいる地名からある程度、どんな微地形の軟弱地盤かを知ることができる。
地名は人との関わりを示す。
昔の人々は土地の持つ性質を地名に込めてきた。
以下は早大講師だった今村遼平先生の著書から引用させて貰ったものである。
・・・・・
古来、水生植物の茂った水気の多い土地を「ぬ」といった。
「ぬま」は水たまり。
「ぬた」は山の中の湿地や水田化された土地のこと。
「にた」「むた」も湿地。
「あか」。水の古語で、とくに水の溜まった湿地。「ふけ」も同じ。
「はけ」。崖下の湧き水が出るところ。

山間の湿地は、「谷地」「谷津」「谷戸」と呼ばれる。
新しく開発された土地であることを指す「新田」も、多くは湿地帯か軟弱地盤だった。
「わだ」は入江が埋めたてられた土地。
近年では本町とか新町とか、○○ヶ丘とか販売促進のイメージアップのため昔の土地名を捨てたところもあり残念だ。
・・・・・
ボーリング調査結果が役所の建築指導課等で閲覧できるので、心配な方はぜひ確認されたい。
N値といわれる杭を打ち込む回数によって地盤の強さを知ることができる。
JIS規格でもある。
一般にビルの基盤となるのはN値が50以上。
ところが軟弱地盤として注意を要するのはN値が10以下、とくに5以下のところだ。

また、微地形の分布状況は、国土地理院が発行している2万5000分の1の『土地条件図』を見れば分かる。
WEBサイトで見ることも、(財)日本地図センターなどで購入することもできる。

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液状化現象-2

前回、地盤の液状化現象に関して書いた。
そうしたら、対策も書くべきとの意見があり、今回はそのリクエストにお応えしたい。

そもそも液状化を防ぐ方法は次の3つしかない。
・液状化しない土地に建てる
・地盤を改良する
・設計を工夫し、液状化しても建物に影響が出ないようにする
分かったね! 以上だ。
といったら怒られるだろうね。やっぱり。

ではなぜ液状化は起きるのかというと、普段は適当にしている連中(土や砂の粒子とその間の水分)が、イザというとき(地震発生時)タガが外れて(砂粒どうしの微妙な関係がバラバラになって)、暴走してしまう(地表面の弱い部分から泥水となって噴出する)。
その際には[砂粒+水=比重2]より軽い水道管やマンホール、電柱は浮き上がる。
比重の重い鉄筋コンクリートの建造物やマンションは沈む。
一般住宅は重い方に傾く、といった具合だ。

それならばという具体策は研究・実施されてきた。
まず、土砂を、小石や礫に取り替える。
盛土し、上から圧をかけて、その中に含まれる水や空気を抜いてしまう。
硬い地盤まで地中に杭を打ち込む。
内と外にダブル配筋した布基礎を行なう。
とまあ、そんなこんなで鉄筋コンクリート住宅で5m、木造住宅で3m厚ていどの硬い基礎地盤を造って、その上に家を建てるのである。

とは言え、千葉県浦安市のように、道路や水道管といった生活インフラの崩壊に対しては、残念ながら得策はない。
ライフラインの確保と共に多くの課題を残すが、それを解決していくことが天啓といえるようにして行かねばならない。

それから忘れてならない、「想定外」。
どれほど強固かつ堅牢なものであっても、絶対というものはない。

そもそも地球はマントルが全体積の83%を占める、半熟卵状態。
ぐちゅぐちゅしている。
そのうえ、沖積堆積物が表面を覆っている。
もし今日一日、何事もなく平穏無事に過ごせたなら、それこそ奇跡と言うべきだ。

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サプライチェーン復興

昨日、三田NNホールでサプライチェーン復興フォーラムという催物があった。
夕刻出掛けて行き、日通総研と日本ロジスティクスフィールドのセミナーを聴講した。

BCP事業継続計画の策定、あるいは見直すというのがテーマ。

改めてここで、BCPで決めておきたいポイントを述べよう。
・非難訓練の実施
・安否確認の方法の取り決めとテスト
・サバイバル用品、食料の備蓄
・消防、警察等関係先への連絡方法
とくに電話連絡以外の手法も開発しておくことだ。
このあたりまでが最低限。
・非常時の優先事業の特定
・復旧レベルの決定
・拠点と調達の代替案の取り決め
・従業員に対する周知教育

サプライチェーンに関していえば、供給より調達を重視した物流を構築すること。
BCPとは要するに、どの業務をどういった手順で復旧するのかを、組織として決めておくことだ。
会社を潰さないために、何を犠牲にするのかを決めておくということであり、それを経営トップが宣言しておくことなのだ。

講師陣の力説にもかかわらず会場で感じたのは、記憶の色あせに同調するかの如き、冷めた雰囲気だった。
会社から「行け」と言われて気が入らないのか、居眠りも目立つ。
そんなふうにBCPは風化するのだ。

私の杞憂であって欲しいと願うばかりである。

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大震災後の疫病

柘植久慶氏の『21世紀サバイバル・バイブル』を読んだ。
中で氏は大災害の後の伝染病蔓延を警告している。

とくに、腐敗が進んだ死体からの病原菌が増殖する恐れである。
氏はとくにペストの蔓延が怖いと説いている。
ペストはネズミや蚤を媒介にして、あっという間に拡散する。
かつて中世ヨーロッパで黒死病と呼ばれ、半世紀に渡って猛威をふるったこともあった。

まあ、氏の指摘は極端かも知れない。
それでもコレラ、赤痢、チフス、破傷風など、それこそ「想定外」の感染症に見舞われる可能性もある。

既に夏場の熱気で腐臭のはげしいエリアがあるという。
それはすなわち何かの菌が繁殖している証拠だ。
瓦礫の下の、まだ発見されていない人体ばかりではない。
津波の遡上で30m以上打ち上げられ、雑木林に置き去りになっている魚介類。
それから原発の周辺地域での死体の回収と処分は、家畜動物のも含めてどうなんだろう?
社会的影響を懸念してか、放射能を恐れてか、マスコミのペン先も鈍いようだ。

地元の保健所や厚労省がその辺りの調査や検査を行っているとは思うが、私たち一般人に正確な情報が発表されるとは限らない。
大量の消毒液を散布したとか、石灰を用意したとか、そういった話は聞こえてこない。
これもまた杞憂であって欲しいところだ。

※タケマツさんという方のアメブロが、大震災後の疫病に関して詳しいので一読をお勧めする。

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奇跡の中身

人が生きるというのは、相手の望んでいないものを押しつけて生きるということだ。
イソップ物語の『北風と太陽』にあるように、北風さんは一方的だ。
彼の行為は旅人を頑なにさせているに過ぎないが、止むことはない。

もうひとつ、人が生きるというのは、人間関係のカルマと戦いながら生きるということだ。
親と子。上司と部下。兄弟。夫婦。
そういった親しい続柄には、何故だか、どうしてだか越えられない壁がある。
他の人から見ればぜんぜん大したものではないが、その人にとっては大きな障害となって現れる。
この人間関係はふだん成立している。
ぎくしゃくしているにもかかわらず、表面的には何事もなかったかのように過ごしている。

奇跡というのはそれが解決されてしまうことだ。
では奇跡中の奇跡とは何かというと、痛みを伴わない解決である。
それをもたらすものー。それが、叡智である。
叡智は本を読む程度では何ごとも為さない。
入口は狭い。
ふつうには見えない。
当ブログではこれよりのち、「見える」ということを語るとしよう。

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森で木にぶつかる

マネージャーの役割はピンとこないものばかりだ。
そもそも計画作成、組織力アップ、管理強化、どれをとってもだ。
計画というより現場では、状況に合わせて対処する能力を求められた。
組織力アップの名の元に様々な取り組みが行われるが、徒労に終わった感が強い。
管理面で効果があるのは、なだめたりスカしたりしながら、ノセることだ。
・・・・・
上記は私のセリフではない。
インテルのアンドリュー・グローブのものだ。

彼のマネジメント論に『ものの見方』に関する事柄がある。

まず、大勢の人間に複雑なメッセージを伝える方法だ。
ペンティアムをはじめて作ったとき、この開発がどれ程重要なのか社員全員に伝えたかった。
とはいえ社員全員と個別面談をする時間はとうぜん無い。
それが「ジョブワン(第一の仕事)」というスローガンだ。
ペンティアム開発以外の仕事はすべて二の次、三の次だということだ。
彼はそのプロジェクトが完了するまで、このスローガンをいやというほど唱え続けた。
つまり彼は、社員全員の『ものの見方』を決めたのだ。

次は、思い込みの罠にはまらないということだ。
インテルは長い間メモリーチップの製造にしがみついていた。
この思い込みの森から出るのは、並大抵のことではなかった。
彼は社内にある「自明の理」や「常識」を疑った。
問題を起こしているのは、知らないことが原因ではない。
知っている、分かっていると思い込んでいのが原因なのだ。

それから、はっきり「ノー」を伝えることだ。
大切なのは、しなくてもいいことを決める能力。
『ものの見方』のことだ。
誰かに当てにされる前に、はっきり「ノー」と意志表示すること。
招待されたミーティングへの参加を断ること。
デスクトップの仕事を整理すること。
つまり捨てる目利きだ。

どうだろう。
あなたは、アンドリュー・グローブの期待に応えられる管理者だろうか。

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妻のぼやき

インテュイット社の創業者スコット・クック。
彼はマイクロソフトからの執拗な合併の誘いを断った、唯一の男として有名だ。

彼には哲学があったからだ。
それは「聞く」ことを大切にしてきたということだ。
彼の起業精神、製品、サービスはすべて、人の話をただただ聞くことで創造されたものだ。
人の話には素晴らしい情報が詰まっているという“信仰”のたまものであった。
マイクロソフトのような巨大企業では、それが許されないであろうことも。。。
・・・・・
彼はある日妻から、家計簿をつけるのが面倒だというぼやきを聞かされた。
「それだ!」と思った。
ところが既にマーケットにはそうした家計簿ソフトはあふれていた。

そこで彼は電話帳に載っている番号に電話をかけた。
普段どうやって金銭管理をしているのかを訊いて回ったのだ。
それから、パソコンショップで働く人や、パソコン雑誌を作っている人にも電話した。
こうしたマーケット調査で、彼はひとつの洞察を得た。
それはユーザーは金銭管理ソフトには機能を求めてはいない。
むしろ簡単で時間の掛からないものが求められている。
つまり使い勝手がイノチなのだ。
そうして個人向け金銭管理ソフト『クイッケン』は誕生した。

それでも最初はまったく売れなかった。
銀行を通じて高所得者にポツリポツリと出荷されていただけだった。
彼は何かがおかしいとそのとき初めて気がついた。
いいものを作れば売れるというほどマーケットは甘くない。

そして彼はユーザーを一軒一軒訪ね歩き、ついにクイッケンを個人ではなく、職場で使っているという人にたどり着く。
確かに会社が10人~15人クラスだと、会計士を雇ったり、専任で会計係を置けない。
社長みずからか、社長の奥さんか、簿記を習ったことがある程度の人が、業務の合間に帳簿をつけている。
そこで彼はクイッケンを家庭用ではなく、ビジネス向けに改造した。
そして、わずか4ヶ月で市場を席捲することになる。

マイクロソフトは似て非なるもので応戦したが、クィッケンの敵ではなかった。
そこで持ち上がった合併話に、スコットの気持ちが揺らぐはずはなかった。

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人を選ぶ

『ビジョナリーカンパニー』の著者ジム・コリンズが、フォーチュン誌に載せたインタビューが面白い。

彼はフォーチュンから意思決定の技術について質問を受けると、その課題に夢中になりなんと14年もの時間を調査と分析に費やした。
そして彼が得た真理はこうだ。
・・・・・
世界は不確実だ。
意思決定とは未来の自分の居場所を決めること。
そして、未来は不確実だ。
だから誰と組むか?
誰にやらせるか?
それが、不確実性に対するヘッジを約束するのだ。

それは決して優秀な人材でなければならないという訳ではない。
正しい人。
正しい人を周りに揃えることなのだ。

では、「正しい人」とは何か。

それは遠慮なくものを言い、かつ、自分の頭で考えることのできる人間だ。
つまり自分の意見を持っている人間。
そしていったん決断が下されたなら、自分の考えにこだわらず協力して成功を目指せる人のことだ。
人を選ぶこと。
それが持つ意味は大きい。
というのも、ビジネス史に残る重要な意思決定は、モノやコトではなく、ヒトに関してのことばかりだからだ。

このインタビューに関しては後編もあるぞ(^◇^;)

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自分の中にある答え

ジム・コリンズの意思決定に関する考察〈後編〉。
・・・・・
正しい人を集めて、次にどうするか。

たいていの人は外側の世界がまず前提にあって、そこから「どうやってその世界に適用しようか?」と考える。
それがマーケティングだと。
ところがその考え方から偉大な意思決定は生まれないと言う。

あくまで思考の原点は、みずからの内に秘されているとも。

われわれのコアバリュー(芯となる価値)は何か?
われわれは何を目指しているのか?
自分たちのよって立つところは何なのか?
私たちは何を達成したいのか?
自分たちを内側から突き動かしているのは何か?
この問いかけに一定の考えをもっていること。これが第一の問い掛けだ。

加えて、「この状況の真実は何だ?」と考えることも、大きな意思決定をするうえで欠かせない。
自分たちの置かれている環境の持つ意味?
自分らの抱えている問題は何を意味するものか?
何が期待されているのか?
これが第二の問い掛けとなる。

意思決定でつまずいてしまうのは、会社のためなのか、それとも自分のためなのかが、はっきりしないときだ。
そこに正しい人たちを集める目的がある。
ほんとうの議論を重ねることができるからだ。

そこでの議題は決まっている。
それは、他のどこよりも上手くできることは何か?
あるいは、われわれにしか出来ないことは何か?
・・・・・
もし、そこで意思決定するだけの明確な意見を得られなければ、はじめに戻ることだ。
答えは自分の中に秘められている。

あなたはそこで自己実現と、社業の発展と、真の社会貢献がひとつの道となって見えることだろう。

「見える」の修行は厳しく遠い。

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不沈艦・雪風

何だか硬い話が続いたので、今日は戦艦ファンなら誰でも知っている、不沈艦・雪風の話。

雪風は、太平洋戦争の初期から終戦まで活躍した日本帝国海軍の駆逐艦。
ミッドウェイやガダルカナル、レイテ沖など、16度におよぶ旧海軍連合艦隊の主戦にすべて参戦。
それでも艦体はほぼ無傷、乗組員の戦死者わずか2名という奇跡の戦艦。

昭和20年4月の、戦艦大和と作戦行動可能な残存艦で編成した、沖縄への特攻作戦。
空母もなければ、上空援護もないわずか11隻の裸の艦隊。
これに雪風も加わっている。

米国海軍は連合艦隊の象徴・戦艦大和に対し、600機もの爆撃機で波状攻撃。ついに撃沈させる。
とうぜん、周りの他の戦艦も攻撃を受け、次々に沈没。
雪風はこの攻撃にも耐え、漂流者を救出しながら佐世保に帰っている。

そこで調べたところ、実は雪風にもロケット弾が命中していたが、何故か信管が作動しなかった。
食糧庫に突き刺したまま、帰還したのだった。
その後も、米国が日本海海中に埋設した機雷に触れても爆発しなかった。

まさに神国日本を象徴する不沈艦・雪風。

雪風は終戦後、連合国に賠償船として引渡されたが、乗組員は最後まで入念に整備を怠らず、米国海軍は驚嘆を以って受け取ったという。
抽選で中華民国(台湾)が引き当て、何と旗艦として迎え入れられる。
そして、中国人民解放軍とも戦うが、ここでも戦果を上げ、無事帰還している。

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次に来るもの

業務改善の手法にPDCAを回すとか、仮説・検証とかがある。
では、その次に来るもの何か。
昨日の昼間、ある人と長時間そんな話をした。

彼に言わせるとはそれは「理想像を追い求めること」だと。
組織や会社、あるいは人生の目的を知ること、目標に向かって進むことがいかに大事なことか。
理想像は最初は分からない。
見えない。

それでも投げ出さず、追い求める。
するとある時、それは突然やってくる。
アイデアがどんどん湧いてきて止まらなくなる。
どういう訳か助けてくれる人が現れる。
モノ、カネも集まってくる。
すべてが集中されると、成果を出すための労力や時間が、恐ろしく短縮してしまう。

そうなるといつの間にか、生産性とか効率性とかを超越する。

したがって単純に成功を追い求めても、成功は覚束ない。
むしろ、自分らしいもの。自分にしか出来ないもの。
それを理想像とし、追い求めることだと。

技術なら技術力。
営業なら営業力。
それを研くことだ。

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