共同配送の仕組みとは?図解でわかるメリット・デメリットと導入のポイント2026.07.06

「共同配送って具体的にどういう仕組み?」「自社でも導入できて、本当にコスト削減につながるの?」と気になっていませんか。ドライバー不足や2024年問題で物流の効率化が急務となるなか、複数の荷主の荷物をまとめて運ぶ共同配送が大きく注目されています。この記事では、共同配送の基本的な仕組みと背景から、路線便やチャーター便との違い、荷主・運送会社双方のメリット、見落としがちなデメリットと向かない荷物、そしてスムーズに導入・運用するステップまでを、分かりやすく整理して解説します。
トラック不足を解消!「共同配送」の基本的な仕組みと注目される背景
共同配送とは、複数の荷主の荷物を1台のトラックにまとめて積み込み、それぞれの配送先へ運ぶ仕組みのことです。たとえば3社がそれぞれ別々に運べば、3人のドライバーと3台のトラックが必要になります。これを共同配送にすれば、1人のドライバーと1台のトラックで3社分の荷物をまとめて運べるため、人もトラックも減らせるというわけです。
共同配送は同業他社同士はもちろん、業種の違う企業同士でも組むことができます。配送エリアやルートを共有し、限られたトラックという資源を効率よく使う取り組みだといえます。
この仕組みが今あらためて注目されている最大の背景が、いわゆる「2024年問題」です。2024年4月からトラックドライバーの時間外労働に上限(年960時間)が設けられたことで、これまで残業に支えられてきた輸送力が不足し、「運びたいのにトラックが見つからない」「荷物を運びきれない」といった事態が懸念されています。
加えて、慢性的なドライバー不足や人件費・燃料費の高騰、CO2排出削減への要請も重なっています。こうした複合的な課題に対し、1台あたりの積載効率を高めて輸送回数そのものを減らせる共同配送は、国も持続可能な物流施策として推進する有力な解決策と位置づけられています。
国内の貨物輸送量の多くをトラック輸送が担っているとされ、その輸送力をどう維持するかは社会全体の課題でもあります。これまで各社が個別に配送していた荷物を集約できれば、1台のトラックをより効率的に使えるようになります。つまり共同配送は、単なるコスト対策にとどまらず、物流という社会インフラを持続させるための取り組みでもあるのです。だからこそ、業界の垣根を越えた連携が広がりつつあります。
路線便やチャーター便(貸切便)との違いは?物流業界の配送モデル比較

共同配送を理解するには、似た配送モデルである路線便やチャーター便との違いを押さえておくと分かりやすくなります。
チャーター便(貸切便)
チャーター便は、トラック1台を1つの荷主が貸し切って使う方法です。指定した場所・時間に集荷・配達ができ、積み替えや拠点経由がないため、破損リスクが低く、細かな時間指定や急ぎの輸送に向いています。一方、1台を貸し切るため、荷物が少ないと割高になりやすいのが特徴です。
路線便(特別積合せ)
路線便は「特別積合せ荷物運送」とも呼ばれ、複数の荷主の荷物を集約し、ターミナルでの仕分けを経て決まったルート・スケジュールで運ぶ方法です。宅配便のように、トラック1台分に満たない小口の荷物を安く送れるのがメリットですが、拠点を経由するぶん配送までの時間が長くなりやすい傾向があります。
共同配送との違い
共同配送も「複数荷主の荷物を1台にまとめる」点では路線便と似ていますが、運送会社のネットワークに荷物を預ける路線便に対し、共同配送は荷主側が主体となって特定の企業と組み、エリアやルートを共有して効率化を図るという点に特徴があります。実際には、これらの方式は対立するものではなく、荷物の量・サイズ・緊急度・配送先に応じて使い分け、あるいは組み合わせて物流全体を設計するのが現実的です。
整理すると、急ぎや時間指定はチャーター便、小口の荷物は路線便、定期的で量がまとまる荷物は共同配送、というように、それぞれの強みが異なります。輸送手段の選択は単なる料金の比較ではなく、自社の荷物特性や業務体制に合わせた物流設計そのものだといえます。共同配送を検討する際も、すべてを置き換えるのではなく、既存の配送モデルと適材適所で組み合わせる視点が役立ちます。
荷主・運送会社双方にメリットあり!共同配送がもたらす効果とコスト削減

共同配送は、荷物を出す荷主側と、運ぶ運送会社側の双方にメリットがあります。だからこそ協力関係が成り立ちます。
荷主側のメリット
最大のメリットは、輸送コストの削減です。1台に複数社の荷物を積むことで積載効率が上がり、1社あたりの負担を抑えられます。トラックを確保しやすくなり、ドライバー不足のなかでも荷物を運びやすくなる点も見逃せません。さらに、トラックの走行台数が減ることでCO2排出量の削減にもつながり、環境対応の面でも評価されます。
運送会社側のメリット
運送会社にとっては、トラックを満載に近づけられることが大きな利点です。空きスペースを抱えたまま走るより、複数荷主の荷物で積載率を高めたほうが、効率よく売上を上げられます。限られたドライバーとトラックで、より多くの荷物を運べるようになるため、人手不足への対応にもなります。
社会全体への効果
個社のメリットにとどまらず、トラックの総走行数が減ることは、渋滞の緩和や交通環境の改善、脱炭素といった社会的な効果にもつながります。共同配送が国の物流施策として推進されているのは、こうした広い効果が期待できるためです。一社だけでは解決しきれない物流課題も、複数企業が連携することで乗り越えやすくなるという点で、共同配送は今後さらに重要性を増していくと考えられます。
導入前に知っておきたい共同配送のデメリットと「向かない荷物」の条件
メリットの大きい共同配送ですが、導入前に理解しておくべきデメリットや注意点もあります。事前に把握しておけば、対策も立てやすくなります。
主なデメリット
まず、複数荷主の荷物を一緒に扱うため、集荷や配送の時間帯・方法をどう調整するかという運用の難しさがあります。各社の都合をすり合わせる手間がかかり、イレギュラーが発生したときに荷物の追加や時間変更がしにくくなる面もあります。また、他社と情報や車両を共有するため、情報漏洩への配慮が必要です。さらに、誤出荷や誤配送が起きると、その影響が複数の荷主に及び、範囲が広がりやすい点にも注意が必要です。
共同配送に向かない荷物
すべての荷物が共同配送に適しているわけではありません。たとえば、厳密な時間指定が必須の荷物や、緊急性が高く即日届けたい荷物は、複数の配送先を回る共同配送には不向きです。また、特殊な温度管理や取り扱いが必要なもの、サイズや形状が極端で他社の荷物と混載しにくいものも調整が難しくなります。逆に、食料品や日用品、医薬品、機械部品など、定期的に納品があり規格がそろった荷物は共同配送に向いているとされています。
向き不向きを見極めるポイントは、「配送先や時間帯を他社とそろえられるか」「規格や荷姿がまとめやすいか」「多少のリードタイムを許容できるか」の3点に整理できます。これらに当てはまる荷物が多いほど、共同配送の効果は出やすくなります。自社の荷物のうち、どれが共同配送に乗せやすく、どれは個別配送やチャーター便のまま残すべきかを切り分けて考えると、無理のない導入につながります。すべてを一度に共同化しようとせず、向いた荷物から段階的に始めるのが現実的です。
成功の鍵はパートナー選び!共同配送をスムーズに導入・運用するステップ
共同配送を成功させるには、計画的な準備とパートナー選びが欠かせません。一般的な導入の流れを見ていきましょう。
1.自社の物流を分析する
まずは、自社が運んでいる荷物の種類・量・サイズ、配送先のエリアや頻度、繁忙期の傾向などを整理します。共同配送に向いた荷物かどうか、どの区間で効率化の余地があるかを把握することが出発点です。
2.相性の良いパートナーを探す
成功の鍵は、配送エリアや荷物の特性、納品先が近い・重なるパートナーを見つけられるかにあります。配送先や時間帯が共通していれば、まとめやすく効果も出やすくなります。同業・異業種を問わず、条件の合う相手を探すことが重要です。
3.ルールを取り決めて運用する
パートナーが決まったら、集荷・配送のスケジュール、費用の負担方法、トラブル時の責任分担、情報の取り扱いといったルールを事前に明確にしておきます。あいまいなまま始めると、後でトラブルになりかねません。運用開始後も、積載率や配送実績を定期的に検証し、改善を重ねていくことが大切です。
システムの活用
近年は、ルートの最適化や積載効率の向上、車両の動態管理を支援する物流システム(DXツール)も普及しています。複数荷主の調整という共同配送の難しさを補ううえで、こうしたシステムの活用は有効な手段になります。データにもとづいて配車や積み付けを最適化できれば、人手による調整の負担を減らしながら、共同配送の効果をより引き出しやすくなるでしょう。
まとめ:仕組みを理解し、自社に最適な共同配送モデルで物流課題を乗り越えよう
共同配送は、複数の荷主の荷物を1台にまとめて運ぶことで、輸送コストの削減やドライバー不足への対応、CO2削減を同時に実現できる仕組みです。2024年問題をはじめとする物流課題の解決策として、国も積極的に推進しています。一方で、運用調整の難しさや向かない荷物といった注意点もあるため、自社の荷物特性を見極め、相性の良いパートナーとルールを整えて導入することが成功の鍵です。仕組みを正しく理解し、自社に最適な配送モデルで物流課題を乗り越えていきましょう。
お問い合わせCONTACT
ご相談・お問い合わせ・
小冊子をご希望の方はこちら

