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物流2024年問題に関する考察2023.09.02

物流2024年問題に関する考察

物流の2024年問題が、何となくキナ臭い感じになってきました。

背景には、
・トラックの輸送効率の悪さ
・トラックドライバーの時間当たり賃金の低さ
・SDGsへの積極的な取組み
があるようです。

しかし、お上:行政サイドと運送事業者:現場サイドの、各論の認識における乖離も甚だしいように見えます。

 

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運送事業の危うさ
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2024年4月より、ドライバーの労働時間が制限されます。

ドライバーの年間拘束時間が3,300時間に、働き方改革関連法ではドライバーの時間外労働時間が年間960時間になります。

これは、働き方改革関連法に違反すれば、懲役や罰金が課せられことになるということです。
国交省から出された関係する規則にも反する場合も、行政処分を喰らうのです。

結論から言うと関係法に準拠するために、ドライバーの労働条件を全産業並みに引き上げない限り、問題は解決しません。

ところが運送事業者は、ドライバーの労働条件を満たせないので、仕事を断らざるを得ない状況になります。
経営的にこれまで通りには立ち行かなくなります。ですから、条件の悪い仕事からは手を引かざるを得ない

つまり、運送事業者としては、コンプライアンスを守れば、やれる仕事を減らさねばならなくなるのです。

断らねばならない仕事も出てきます。

その場合、特定の荷主を切るしかありません。
運送事業者としては、同一荷主のAの仕事は継続しますが、Bの仕事はやめさせて下さいとは言えません。

そんなふうに仕事を選択すれば、荷主サイドからも敬遠されるからです。

 

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ここで、一般の方からのご意見をいくつか挙げてみます
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・何でドライバーに規制なのか、荷主や運賃下げる運送業をもっと規制かけるべき

・標準運賃を守らない荷主を罰則する必要がある

・人手不足でドライバー需要が増えているのに、そのドライバー達の賃金が下がる意味がわからない

・規制緩和を撤廃し、ドライバーに賃金保証できるトラック事業者だけにすべし

・1990年の改正をもっと掘り下げて、荷主企業や物流業界にもたらしたメリット、デメリットを明確にするべきだ

・政府は規制だけして、問題解決に至っていない

・全て国が定める適正運賃にすればよい。その分、商品の価格も上げればよい。消費者側にも相応の負担が増すということを理解して、受け入れる必要がある

・労働環境だけ改善するのではなく、運賃や賃金も改善して、グレーな部分をなくしたらよい

・人手不足なのに労働時間制限をかけて制限のせいで給料が減ってドライバーの方が転職していって国はわざと物流止めようとしてるんですかね

・まず、バラ積みさせてる時点でおかしい。パレットで積んできても卸場のパレットに積み直しがあったり、仕分けとかを運転手にさせたり、待機時間が長かったりする

・給与が歩合制の運送会社が横行している

・企業努力をした結果、不幸になるということが悲しい。

荷主:配送依頼者に幸せになってもらいたいというのは分かるけど、運送事業者の方が不幸になる関係は結局長続きしない

 

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トラックドライバーに懸かる負担
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運送事業者がドライバーに支払う元となる売上が減るので、ドライバーに支払う賃金が下がります。

そもそも、全産業平均と比較すると、年間労働時間が2割多いにもかかわらず、年間賃金が2割安いのです。

まずはこれを、全産業並みにする必要があるのです。

でなければ、ドライバー不足はいつになっても解消しません。

とはいえ、「全産業並み」をどうやって実現したらよいのか、得策がないのです。

それでも、やるだけの価値のある施策が3つあります。

(1)もっと声を上げよう

(2)荷主に改善要求をしたり、窮状を訴えるべき

(3)国交省の出した「標準的な運賃」を【錦の御旗】と捉えて、荷主サイドと交渉すべき

しかし懸念していることもあります。

こうした業界の状況を世間に訴えても、ドライバー希望者の心理にはマイナス要素として伝わっていくでしょう。

 

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物流の事業構造に内包される問題
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物流業界は、極端な下請け多重構造になっています。

荷主から見ると、元請け、孫請けはまだしも、ひ孫請け、玄孫請けも珍しくありません。

そこでは、荷主が支払う運賃の、20~30%が中間搾取されています。

この多重構造を、元請けか、その下請けである孫請けくらいまでに留めることさえできれば、いくつかの課題が解消されます。

現に孫請け以下でトラックを運行させている運送事業者は、どこもカツカツで疲弊しています。

ところが、世間一般の見方としては、そこに着目している意見は少ないようです。

孫請け以下の運送事業者であっても、ドライバー不足と言われながらでも、どうにかやっているのが実態です。

確かにこれを「神の見えざる手」と呼んでいいものか分かりませんが、現実に物流が止まっていないのだから、世間的にはそれほど深刻には受け止められてはいないのが実態です。

 

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運送事業者の経営課題
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「2024年問題」でなくても、運送事業者にはそもそも遵守しなければならない2大要素があります。それは

(1)コンプライアンスに対応し徹底する

(2)サスティナビリティへの取組み

運送事業者はひとつの企業として、サステナビリティ:持続可能性を図らねばならないのです。
もちろん、排ガスや騒音などの環境破壊を抑制するために、積極的に取り組むことが大事です。

そんななかでも、今回の問題課題解決に、ひとつの方向性が示されてもいます。

それは、ホワイト物流です。

ホワイト物流推進運動とは、トラックドライバー不足が深刻になっていることに対応し、国民生活や産業活動に必要な物流体制を、安定的に確保しようという動きです。

要するにトラックの輸送力は、わが国の経済を支え、かつ発展させていく基盤なのです。

したがって、トラックドライバーの不足とか高齢化、そして労働環境の改善を促進しなければなりません。

これは運送事業者だけではなく、荷主企業や納品先企業といった物流の利用者・関係者を巻き込んで、インフラ整備や生産性向上を目指すものです。

なかでも、トラックドライバーの確保と充実は、運送事業者としての経営課題なのです。

 

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構想ベースで申し訳ないが
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1・中小運送事業者どうしで、情報プラットホームをつくる

そのプラットホーム上で、貨物荷物・輸配送条件・トラック台数のそれぞれのデータや情報をマッチングさせる試みです。

2・貨物荷物のユニタイズ化・パレタイズ化

そのユニタイズされたものの、物量・輸配送先情報・条件のデータ交換をネットワーク化することです。

3・その他アイデア

3-1・拠点ロケーションの最適化:何処でやるか

3-2・共同配送:どこと組むか

3-3・素材・部品・製品・商品の包装・梱包の見直し

3-4・時間換算のKPI指標を事業運営の基幹システムに

3-5・中継リレー輸送

 



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