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物流DX推進を阻むレガシーシステムの存在2023.12.01

物流DX推進を阻むレガシーシステムの存在

「化石」とも揶揄されるレガシーシステムについては、企業団体ばかりか政府もかねてから懸念を示しています。
レガシーシステムの刷新を急ぐよう行政が口をはさむのは違例。
状況が変わらなければ産業界全体のDXは先に進まず、社会全体で莫大な損失が発生する、という強い危機感が根底にあります。

レガシーシステムは次の3点が問題視されています。
1.企業内にあるデータを十分に活用できず、データドリブンの経営が実現できないこと。
2.システムの維持管理費により、本来必要な新たな投入資金に予算を振り向けられないこと。
3.過去に主流だった古い開発言語に精通する人材が減ったり、保守運用が手薄になることで、サイバーセキュリティのリスクが高まること。

DXに限らず一企業として取り組むべきは、ビジネスモデル、サプライチェーン、そしてこのリスク回避です。
とくにリスクの魔の手から脱却できた企業と、抜け出さずにいる企業の間とは、競争格差が広がっていくことでしょう。

具体的に私のご支援先にも、20年ほど前に制作した在庫管理システムを少しづつ変更しながら現在に至っている倉庫会社があります。
しかし最近、荷主より荷主側システムとのデータ連携・処理連携・アプリケーション連携を打診されています。
それは、現行在庫管理システムの大幅リニューアル、あるいは廃止処置を余儀なくされているということなのです。

 

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物流DXが進まない現実
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では、レガシーシステムの刷新が進まない理由はどこにあるのか。
リスク回避策への関心の低さなどありますが、要するに経営戦略の有る無し、ひいては内部人材の育成不足だろうと思われます。

物流業界は多様な側面を持つ業界であり、多くのプレイヤー、プロセス、パートナーシップが絡み合っています。
これにより、DX化を推進するプロジェクトの導入が難しくなっています。
・物流に限らずDXは、新しいテクノロジーの導入と既存のシステムとの統合が必要です。
 既存のシステムとの互換性が課題となります。
・DXには大規模な投資が必要ですが、多くの物流企業は収益の見通しに懸念を抱いている場合があります。
 そのため、ITだけに集中した投資を決定できないでいます。
・技術改革だけでなく、組織文化の変化も必要です。多くの物流企業が、昔ながらの業務プロセスに頼っています。
・しかし、もっとも決定的なのは、タレントを有する人材が不足していることでしょう。
確かに物流DXにはスキルのある専門家やテクノロジーの専門家が必要ですが、そのような人材は社内にはもちろん、業界全体でも不足しています。
・さらに、物流業界は「物流2024年問題」に代表されるように、新たな規制や法律の適用を消化しきれないでいます。
 これに対応するために、時間とリソース、さらには知識をアイデアが必要ですが、枯渇しているのが現状です。

物流DXを成功させるためには、これらの課題を克服し、経営陣のサポートを受けながら、計画的かつ戦略的に取り組むことが重要です。
また、変化を受け入れる文化を育て、外部のパートナーシップやコラボレーションを活用することも役立つでしょう。

 

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誰も変化を好まない
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ほとんどの人は変革など好まないのではないでしょうか。
今まで通りでなくとも、既存の延長線上の変化や若干の進歩ならば受け入れやすいものです。
けれども、抜本的な改革となれば、自分の働き方やスキル、さらにはマインドセットまでも大きく転換する必要があるのです。

誰にとっても変革は心地よいの良いものではないはずです。
それは組織についても同じでしょう。

ことに、顧客ごとのカスタマイズや完了度の高い作り込みを強みとしてきた営業や開発の部門にとっては、標準化や自動化は受け入れて強い拒否反応の対象となっています。
自らの価値を否定することにもつながりかねないからです。

統計によると、DXに取り組む日本企業のうち成功したのは10数%で、調査対象国全体の30%の半分以下であることが明らかになっています。
成功率の低さの理由は様々ですが、企業トップが主導する全社プロジェクトでないケースが多いことも影響していると考えられます。
裏返せば、企業トップのコミットメントのもと、変革リーダーに充分な権限とリソースを与えさえすれば、DXの成功確率は高まると考えられるのです。

では、どのような人材であればDXを主導できるのでしょうか。
これについては、特定部門のトップがDX推進の責任者割合である割合が15%ということですが、企業トップ直属の組織であるならば、成功の確率がグッと高まるのです。
抵抗勢力に呑まれない環境づくりが、奏功しているのでしょう。

そうした中、企業トップに求められるのが、ビジョンを明確に指し示すことであり、話を聴くことであり、偏らないで判断を下すことであります。
変革リーダーもまた、先を考えて展望を持ち、考えてくる情報をもとに判断を下すことができれば、必要な緊急事態を各個撃破していけると考えられます。
あとは、そのリーダーの下に、どのようなチームメンバーを招集できるかに掛かっているのです。

 

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組織と人材の壁を崩す
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この問題を突き詰めていくと、組織と人の問題に行き当たります。
また、ボトルネックを解消する究極のカギは、「既存従業員の学び直し」にあると指摘している方もいらっしゃいます。

1.取り組むべき領域を自主決定、新分野への取り組みを厭わず、ありたい未来を描く、挑戦姿勢する。要するに課題設定力
2.計画進行のマネジメントではなく、外部の状況や変化状況を踏むまえ、目標を見ずに、都度ピボットしながら進める姿勢。当初の計画にこだわりすぎない
3.対立する周囲のメンバーを巻き込むだけでなく、外部「「他人」との現状を多く持ち、自分の成長や変化の糧にできる受容力
4.一時の失敗は、成功に向けた過程であり、失敗を恐れず、立ち続けず、途中までに進むことができる姿勢
5.自ら解決したい・取り組みたい課題を明確にし、自らの言葉で話すことができる、前向きに取り組みたいと感じられる姿勢
6.解決や困難な状況に配慮したときでもあきらめずに、さまざまな方法を考え、壁を突破するためにリーダーシップを発揮する姿勢

各所で問題視されていますが、デジタル人材では特に世界企業との開きが大きいのです。
また、人材の獲得方法としては、中途または新卒採用による外部からの獲得と、内部人材の育成の大きく2つに分けられます。
注目していただきたい、あるいは即着手いただきたいのは後者の、内部人材の育成の方です。

これに関しましては、また別途に発言させていただきます。



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